2023年4月12日水曜日

チーフスタッフコラム 2023年4月『8050サバイバルブック』

ひきこもりの長期化、高齢化が問題になっています。
高齢者支援者が、80歳代の親御さんを訪ねたところ、家の中に50歳代のひきこもっている方が密にいた…と言ったことが多く報告され、8050問題として大きく取り上げられています。

ひきこもりの長期化・高齢化に対しては、現場ではかねてから問題視しており、内閣府がそれを受けて2019年に40歳から64歳のひきこもりの方の調査をし、推定61.3万人という結果が出ました。
15歳から39歳が54.1万人なので、推定115万人。
この度の2023年の内閣府の調査では、15歳から64歳のひきこもり者146万人という数字が出ています(3月31日朝日新聞 5人にひとりがコロナ禍を理由に挙げており、前回の調査とは単純に比較できないとされている)。

茗荷谷クラブでは、2020年から文京区を中心に地域連携を主体とした、8050問題を重点課題として取り組んでおり、地域の高齢者あんしん相談センター、地域包括支援センター、介護関係の方々、社会福祉協議会の方々と話し合っていく中で、当事者はもちろん、支援者も戸惑うことが多く、どこの誰に相談すればいいのか、どう声をかけてつなげばいいのかがわからないという声を多く聞きました。

また8050の方からも、親亡き後をどうすればいいのか?何ができて何をすべきなのか?誰に相談すればいいのか?という悩みを多く聞きました。

私たちは、喫緊のやらなければならないことであるとの認識を持ち、この度、8050サバイバルブックを作成しました。
時間がない中、すごく大変でしたが、本当にスタッフが頑張りました!
独立行政法人福祉医療機構WAMの助成を受けての事業
『ウーパーさんのおひとりさま省エネ高年齢ライフ:8050サバイバルガイド』です。


冊子の反響はとても大きく、現在、2000部中残りが約300部となっています。

なぜ、本人たちはひきこもらざるを得なかったのか?
なぜ、親御さんは50に至るまで、家族で抱え込まざるを得なかったのか?
私たちは改めてじっくりと考えなければなりません。

そして、目の前の方が生きていていいと思えるようにと日々時間との闘いに追われる中、同時に、私たちはこれは個人や家族の方の問題ではないという認識を恒に持ちながら、より良い社会をとはどういう社会なのかと恒に社会との関連の中で考えていかなければなりません。
教えてくれるのは、彼らです。
社会問題として、憤りを持ちます。社会のあり様について、政治や経済について学び、物を言っていかなければならないと感じます。

とはいえ、喫緊で困っている、命が危ないという状況をまずはどうにかしたく、地域ではたくさんの多職種の方々が奮闘しています。
「やっと自分が就職して(ひきこもりから脱して)少しは稼げるようになったところなのに、もう次には親亡き後を考えなければならないんだなと思いました」と感想を述べてくれた40代の方がいらっしゃいました。
ほんとにおっしゃる通りです。不安になってしまいます。

準備は早いに越したことはないのかもしれません。
でも、「何とかなるさ」といざとなればだれかに頼ればいいとみんなが思える、その横にこの冊子がある、そんな冊子でありたいと思います。

そうなれば、私たちはもう少し安心して、いくつになっても、何歳からでも、自分の人生を豊かにする選択肢があることを感じることができるのではないでしょうか。
年齢を重ねることも悪くない…と思える世の中でありたいと思います。

チーフスタッフ 井利由利

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