2023年7月13日木曜日

チーフスタッフコラム 2023年7月

少し前になりますが、5月27日に台東区でひきこもりのご家族、御本人対象の講演会を行いました。
登壇していただいたのは、品川区でフリースペースをやっている中塚史行さんです。
テーマは「若者をまんなかにした場を作る~ユースワークとしての若者支援~」です。

“若者まんなか”という言葉がとても印象に残りました。
子ども家庭庁では2023年4月に「こどもまんなか」をスローガンとしました。
実態が追いついているかどうかはともかくとして、これまでの、子ども時代は大人になるための準備期間であり、教え諭す対象であるという考え方から、子どもは子ども時代を子どもらしく過ごす権利があり、「支援の対象ではなく権利の主体」であること、子育て支援(親支援)の中に子ども支援があるのではなく、子育て支援と子ども支援が、両輪としてなければならず、両者を分けていくことにしました。
このことの意義はとても大きなものです。

子ども時代を子どもらしく過ごせなかった子どもたち、親や大人の都合に合わせざるを得なかった子どもたちの心が健やかに発達していかないことは、アダルトチャイルドの問題などずっと言われてきたことです。
遅いですね。でも、やっと形になってきたのかなと思います。

それでは、“若者まんなか”とは具体的にはどうすればいいのでしょうか?
若者は多様であり、どんな人も支援の対象ではなく権利の主体であることです。
あたりまえのことなのに、支援という名の暴力はこと欠きません。

そして、若者が若者時代を若者らしく過ごすこと、アイデンティティの獲得に向けて様々な役割実験をし、試行錯誤しながら、失敗を繰り返しながら、青春時代を過ごすこと、こんな当たり前のことがしづらくなっているのだと思います。
そのような青春の再体験ができる場と時間が必要です。

子どもの権利条約に「意見表面権」があります。子どもは自分に関わることに対して意見を言っていい権利です。
意見の中には気持ちや想いも含まれます。大人に気を使って自分の本当の気持ちが言えない子どもたちが大勢います。
若者もしかりです。そして気持ちを言えるためにはそれを聞く他者がいなければなりません。
ですから意見表明権(the right to express those own views)は、聴いてもらう権利(the right to be heard)とも言えます。

一応大人である私たち、一応支援者という立場の私が、そのことをしっかりと自然に身に着けているだろうかと悩みながらの日々です。
茗荷谷クラブに来てくれているメンバーさんたちの笑顔に助けられています。
自分も含めて、みんなが何の繕いもなく屈託なく笑い合える時間が増えることを願っています。

チーフスタッフ 井利由利

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