2018年5月9日水曜日

茗荷谷クラブチーフスタッフのコラム&トピックス☆2018年5月6日号


■はじめに

今回は月1ペースで更新の、茗荷谷クラブチーフスタッフのコラム&トピックをお届けします!よろしくお願いいたします。


■茗荷谷クラブの理念…「茗荷谷クラブ」と「就労」について

「クラブ最近変わりました?就労に傾いている気がする。まあ、僕はブログしか見てないですけど…」。

「クラブは変わってないと思いますよ。メンバーのニーズがあるから、就労(中間的就労)のこともやっていてブログではそんな話題が多いけれど…」。

OBの方と現役のメンバーの方とのこんなやり取りが、たまたまみんなで雑談しているときにありました。「うーん、お二人とも、確かに!なるほど!」と思いました。

…そこで、今回は【茗荷谷クラブ】と「就労」について考えてみようと思います。


【茗荷谷クラブ】は、1987年に開設され、31年目を迎えています。1998年の斎藤環氏の著書「社会的ひきこもり」(PHP新書)を境に、「ひきこもり」という概念が広く社会に周知され、その後、ひきこもり支援は紆余曲折しながら、時節の波に揺り動かされながら、いまだに揺れ動いています。


「就労」という切り口から見ると2004年ごろ、「ひきこもり」を「ニート」に回収する動きが生まれ、“ひきこもりからの回復=就労“という見方が強化されました。


「働く過剰」(NTT出版 2005年)の中で、玄田有史氏は、「とりあえず、働くことで、リズムができ、自立への道が自ずと広がってくる。自分の内面ばかりに注目しないでとりあえず、働いてみよう」ということを述べていました。


私も大学の授業で、学生さんに、学生さんが「ニート」にならないようにという思いからこのようなことをお話しした覚えがあります。


でも、茗荷谷クラブでは、「いや、“とりあえず”なんて、動けないから困っているのに・・・」「就労はゴールなのか?」という違和感ともやもやした危機感を感じていました。


この「動けなさ」を何とか説明しようと、私は「“ひきこもり回復のゴールは就労”と短絡的に考えることは、思春期心性を無視している」と、思春期心性に焦点を当てて論を展開しようと試みました(『ひきこもりに対する民間の取り組み~思春期への対応を含めて~』思春期学 日本思春期学会20133)


つまり、思春期の特徴である理想の自分と現実の自分とのギャップを受け入れる過程は、楽しい、さまざまな活動、遊びの体験を通して、生きる意味を問うたり、仲間と対等に切磋琢磨する中にある。


それを飛び越えては思春期を通過できない。人は自立へ向かえない。


そのことを、周りの人はもっと理解し、そのお手伝いをしなければならないだろう、そのためには、そうした【場】と、対等に話ができる、あるいは真摯に話を聴いてくれる【人】が彼の周りになければならない、といったことを書きました。


これは、今につながる一貫した【茗荷谷クラブ】の大切な理念です。


でも、心理的な理解は心理的な理解にしかすぎません。自分の力不足もあり、この展開に限界も感じました。何故なら、人は自分の「こころ」と「社会」との間に存在し、その接点を見なければ、「人」を語ることはできないからです。


今、現に社会で生きている彼らの「声」、「ニーズ」を聴き、加えて「社会」は、そして聴く人としての私を含めた「私たち」は、今どうなっているのか、その接点を見なければなりません。


声を聴くということはすなわち、共に考える、共に成長していくことです。


そして今、本当に声が聞けているだろうか?もっと言えば、声を聴く姿勢が変わってはいないだろうか?と向き合わなければなりません。今後もこのテーマに取り組んでいきたいと思います。


■4月のトピックス

新年度となり、茗荷谷クラブには、4名の新しい実習生の方が来てくださいました。これから1年間、どうぞよろしくお願いいたします。


トピックスといえば、やはりフリマですね!日曜日ということもあり、たくさんのOB・OGの方が来てくださいました。嬉しいですね!


「なんか来てよかったです。安心しました」と言ってくださったり、お顔が見られて本当によかったです。


ブログの中にはさまざまなイベントや活動が紹介されています。少しでもクラブの雰囲気や様子を分かっていただきたいと思い、多くのスタッフが書いています。


今年度茗荷谷クラブスタッフは、実習生を入れて17名、ほぼ、臨床心理士と精神保健福祉士です。これは茗荷谷クラブの特色でもあります。


しかし、専門職の在り方も、昨今問われている大きなテーマです。まだまだ精進が必要です。


平成30年度も、どうぞよろしくお願いいたします。

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