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2026年5月26日火曜日

「遊ぶことと居場所」~チーフスタッフコラム 2026年5月

いわゆるひきこもり支援では、居場所づくりが推奨されています。
各自治体では、若者を対象とした居場所を作るにあたり、どのような居場所であれば、例えばひきこもっている人や生きづらさを抱えた若者たちが参加してくれるのか?と頭を悩ませています。
もちろん茗荷谷クラブでもどうしたら?何がニーズ?など考え続けてきましたし、今でもずっと考えています。

今回は、「遊ぶ」を、キーワードに考えてみたいと思います。
なぜ「遊ぶ」なのか?
今の社会は「自分」を生きることが困難である、と子どもたちからの相談の中で感じます。
子どもたちが「自分の言葉で話すってどういうことですか?」「クラスの人たちと話しているととても疲れてしまいます」「何を話していいかわからない。相手が何を話して欲しいと望んでいるのか考えてしまうし、自分の言いたいことが言えない」と話すことが多くなっています。

遊んでいないからではないか?「遊ぶ」ことは本能的な「いのちのしくみ」、生の実感とアイデンティティの形成に欠かせないもの、そして主体的な学びの原点(一般社団法人TOKYO PLAY 代表理事嶋村仁志氏の資料(5月17日より)です。

5月17日に子どもの権利条約総合研究所の公開パネルディスカッションに参加しました。
子どもの遊ぶ権利の視点から、どのような居場所が求められるのか?についてのディスカッションが行われました。中でも、認定NPO法人フリースペースたまり場の西野博之氏、認定NPO法人プレイパークせたがやの天野秀昭氏のお話がとても印象的でした。

一つは、公的機関の無償化による意識の変化が起こっていることです。
公営民営型は原則無料であることから、「公的サービス」という意識が、「居場所」という育ち合いの場に、支援・被支援の関係を持ち込んでしまっている現実があります。
居場所のスタッフは不完全さを、できるだけ利用者である子どもたちと補い合いながら、子どもたちの力を信じていくことを大事にしてきました。まさにそれが「遊ぶ」ことなのです。

それなのに、それに立てない大人が増えている、というものです。
民間の若者支援では、スタッフと利用者の支援・被支援の関係では、そこは若者たちの「居場所」にはならないと思い、構造的なところは変えられないとしてもどのようにすれば、支援・被支援の関係性を少しでも薄くしていくことができるのかを意識しながらやってきました。

茗荷谷クラブは、参加メンバーは月額料金を支払って参加します。
自治体の無償化の中で、料金を支払うことの意味について考えてきました。
最も一番の理由はクラブ存続のため、優秀なスタッフに来てもらうためですが。そんなことは彼らには関係のないことですよね。
申し訳ない忸怩たる思いがあります。自らの大切なお金を支払ってクラブに来てくれます。
そのことによって、どのように自分にとって有効にクラブを使うか、クラブに来ている意味付けを、自分自身で、あるいはスタッフと共に真剣に考えていきます。
メンバーさんは公的機関からサービスを受けるだけの人ではありません。

自治体と話をしていると、無償化によって、失敗が許されない、とにかくリスクを避けなければならない、責任を取るのは誰なのか?が常に意識されています。
居場所はトラブルが起こったり、失敗が許される場でなければなりません。

公的無償化は歓迎すべきことです。でも、居場所は失敗する権利、試行錯誤する権利、さまざまな自身の価値観が尊重され、体験によって視野を広げていく権利を育てていかなければなりません。
いかにこの権利が奪われているかの現実に私たちはもっと気づいていく必要があります。

西野氏の言葉を紹介します。
「大人のよかれは子どもの迷惑。合理的、効率的にきれいに安全に、遊び場の中に、システムを持ち込まない」。
子どもの遊び場と若者の居場所も基本的な考え方は同じだと思います。遊んでいない若者が多いと感じます。

春の一泊旅行で河口湖に行ってきました。めちゃめちゃ楽しかったです!


チーフスタッフ  井利由利

2026年4月28日火曜日

「茗荷谷クラブのプログラム活動」~チーフスタッフコラム 2026年4月

新年度4月、毎週行っている茗荷谷クラブの午後(14時~16時)のプログラムについて、1年を振り返り、メンバ―の方の感想や希望、よかったプログラムについての話し合いのグループワークをしました。
今回は、2025年度1年間のプログラムを振り返ってみたいと思います。

人気があったり思い出に残るプログラムはやはりイベントでした。
4月、高尾山ハイキングは、雨のため中止でした。
5月、春の一泊旅行(秩父・長瀞)、7月は茗荷谷バザー、ボウリング大会。
9月、ソフトボール大会、10月は体育館でのスポーツ大会(バレーボール、バトミントン、卓球、フットサル、バスケットボールなど)。
11月、秋の一泊旅行(熱海・伊東)、12月はクリスマスピザパーティ。
2月は文化祭、3月はお花見BBQ(葛西臨海公園)でした。
どれも楽しく、思い出がたくさんできました。

プログラムは、「食べる系」「工作する系」「表現する系」「ゲームなどで遊ぶ系」「しゃべる系」「心理講座系」などなど、多彩です。

「食べる系」では、真夏のそうめん、かき氷、大掃除の後のお汁粉、お抹茶(茶事)、スイートポテトづくり、餃子づくりなど。
自主プログラム(メンバーさん主導のプログラム)では、パフェとソーダ―ゼリーやパンケーキなど食べ物系が多かったです。みんなで作って一緒に食べます。
クラブは和室で大きなテーブルで食べますので、まるで昔の親戚の集まりみたいです。食べ物系は人気があります。

工作や表現系は、座布団づくり、コラージュ、書初め、マイストーン・アート、紅葉狩りと絵ハガキづくり、半紙でうちわづくり、蜜蝋ラップ、写真を撮ってきてオノマトペで遊ぼうなどをしました。
自分で作ったものや、自分の好きなもの紹介、好きな言葉や座右の銘などを紹介するものは、みんなが生き生きとお話しているように感じます。
「しゃべる系」にもつながりますが、テーマトーク、悩み相談(真剣しゃべり場)、私の日常あるある研究、人見知りかるた、俺のプロフィール帳、年の瀬ライフハックなど、自分のことを話したりみんなの話を聴いて、それぞれの方の理解が深まり、意外性や自分発見にもつながります。

ゲーム系では、公園で、子どもに戻ってドロけいをやったり、オフラインカジノ、ランダム川柳、リレー小説で遊びました。
遊ぶことは、頭と心と体がバラバラになって、一致してくれない苦しさを開放する最も良い方法です。

心理系は、ほぼ認知行動療法や、自己理解を進めるもので、もやもや思考との付き合い方やメタモルフォーゼ、漢字フォーカシング、言い訳を考えよう、脳内ルール大集合、ファイブ・サクリファイス、コンセンサスゲームなどです。
説明は省きますが、よかったら、ブログから見つけてください。
みんな真剣に取り組み、スタッフももちろんチームメイトとして参加します。私の個人的感想ですが、自分の気がつかなかった隠れた思い込みを発見し、頭が柔軟になる感覚を実感します。

プログラムは、やりたくなければやらなくてもいいんです。
緊張や不安や苦手意識が、やってみようかなと本人が思える程度に下がった時にやってみてください。

さて、2026年4月になり、またまたプログラム案を作成中です。楽しみです。

そして、茗荷谷クラブはお部屋をリニューアルしました!
多少広くきれいになったかなと思います。ぜひ、気軽に見学に来てください。
スタッフ一同、お待ちしています。



チーフスタッフ 井利由利

2026年3月24日火曜日

「『生きる』教育」~チーフスタッフコラム 2026年3月

小学校入学時からコロナで、友達と接触しながら遊んだり、一緒に食べたり、大きな声で笑いあったりする経験が少なくならざるを得なかった子どもたちが、6年たって、小学6年生から中学生となっています。

あのコロナ禍が、子どもたちの育ちにどう影響しているのでしょうか?
友達の輪の中で「おかしくもないのに笑っていた」り、友達と話すときにすごく気を使って相手の機嫌を取って合わせてばかりを繰り返している中、心が疲れてしまい、学校へ行くことができなくなっている6年生、中学生の子どもたちに最近、よく会います。

一体なぜこんなことになっているのでしょうか?
のびのびと言いたいことを言って、自然に同級生と触れ合うことができなくなっている子どもたち・・・
なぜなんだろう?そして大人はどうすればいいんだろう?などと考えてしまいます。

前思春期で、自意識が過剰になり、人にどう思われるかとか、人の目が気になったり、進学や受験のストレスもあったりする時期ではありますが、その思春期危機を超えることができずに苦しんで、自分でも自分の中で何が起こっているのかわからず、不安になって子ども相談室に来る子どもたちが増えている印象です。

人への信頼感やつながりの感覚が欠如しているのではないか?などと考えていました。
人との信頼感やつながっている感覚は、遊びの中から醸成されます。
ギャンググループと言われる小学校低学年の子どもたちが集団の中で、なんだかよくわからないけど、一緒に行動したくて、一緒に走り回っているイメージです。
こうした体験を繰り返し、仲間感覚が生まれます。容易なことでは傷つかない関係性ができてきます。
トラブルは当然起こりますが、親が介入しなくても大丈夫!となります。
コロナ禍だけではなく、今、そんな時間を子どもたちは持ちにくくなっています。

自己肯定感を育み、自分と相手を大切にする方法を学ぶ「生きる」教育(生野南小学校教育実践シリーズ 第1巻)を読みました。


この「生きる」教育の実践は、10年かけて編み出された授業の組み立ての工夫がすごいです。
子どもたちが幸せに生きていく上で必要な知識(虐待予防教育、ライフストーリワークの視点を取り入れた教育―治療的教育―、考えようみんなの凸凹―障害理解教育―、性・生教育)の授業が紹介されています。
どれも子どもたちの成長段階に合わせたわかりやすい授業です。

そして最も大切しているのが一方的な先生からの授業ではなく、グループワークを重視しているところです。
グループワークで、ではどうしたらいいのかを子どもたちが真剣に話し合います。
みんなで知恵を出し合って考え、正解ではなくてもたくさん案を出し合い、話し合います。
このことによって「人とのつながり」をとり戻します。
クラス全体の安全感・安心感を醸成することができます。
「友達と真剣に話し合うことを通して人を信じることができる力を保障したい」と本の中で述べられています。

グループワークについては、大学の授業でのグループワークが負担だったり、茗荷谷クラブのプログラム(基本グループワークが多い)には参加しなかったりと、拒否感を持っている方も少なくありません。もちろん、無理に参加することはしなくていいです。
でも、小学生の内から当たりまえにやっていたら…違っていたのではないかとも思います。
私自身も毎週毎週グループワークを何年間もやってきました。
自分の想いや意見を言って、違っていたり、受け入れられたりの経験が、人への信頼感と私自身を作ってくれたと思っています。

最後に、茗荷谷クラブのプログラムはいつもすごい時間をかけてスタッフみなで作っています。
どなたでも見学、大歓迎です!

チーフスタッフ 井利由利

2026年2月26日木曜日

「みゃうがフェス2026~ぶんかさ~い」 ~チーフスタッフコラム 2026年2月

2月21日(土)18:30から21:30に「みゃうがフェス 2026」が開催されました!
50人ほどが集まりました。
とても楽しく、感動したので、その一端でもお伝えできればと思い今回、書きます。

茗荷谷クラブでは、年に1度、錦糸町にあるシルクロードカフェを借り切って、文化祭を行います。
照明付き舞台のあるカフェで、メンバーさんたちがさまざまなパフォーマンスやクイズなどを行います。
ほぼ、5か月くらいかけて、希望したメンバーさんたちが企画をし、準備を進めてくださいました。

オープニングは何ともかっこよくてかわいいダンスから始まりました。
そして癒されて、なんか楽しくなって笑いを誘ってくれる司会者による乾杯、そしてソロの美しい歌声と続きました。とにかくすごかったです。
そして、生物を主題としたクイズからは、出題者の生き物に対する深い愛を感じました。

当日の料理は午後1時から、料理担当班が作りました。
メンバーさんがメニューを立案し、材料を買ってきて下さり、適格な指示と時間配分で見事午後5時には、荷物持ちに手伝ってくれる方もたくさん来てくれて、会場へ行き、準備をすることができました。
メニューは「ケバブ」です。
鶏肉とキャベツの千切り、トマト、特性のソースが入っていてとってもボリューミーでおいしかったです。しかもアメリカンドッグ付きでした!

会食の後は、テーブルごとのクイズ対抗ゲームでした。それぞれのメンバーさんが工夫を凝らした楽しいクイズの問題が出され、すごく盛り上がりました。めちゃめちゃ楽しかったです!
さらにAIを使って作成された動画によるクイズは圧巻でした!
こんなことできるんだとびっくりしたのと、動画のストリーの奇抜さ、面白さに感動でした。ほんと、皆さんにも見ていただきたい傑作です。

最後は、オリジナル曲の歌を披露してくださった方、ギター演奏とソロの歌を聴かせてくださった方によるパフォーマンスです。
本当に良くて、感動的でした。ちょっと泣けてしまいました。

文章力がなくて、なかなか伝えられないのがもどかしいのですが、とにかくメンバーさんたちの力、それぞれの方の持つ能力にひたすら感心していました。

好きなこと、やりたいことがあって、それを表現できる場を作ることはとても大事です。
もちろん強制ではなく、やりたいと思う人がやればよく、みんながやらなければならないわけではありません。
そこはクラブとしてもとても大事にしているところです。なので、参加も自由です。

そしてやりたいことがしたくてもできなかった、心のどこかに不全感を抱えている人、やりたいことがわからずになんか生きる意欲がなくなっている人、自分って何だろうと考え続けている人、さまざまな人が自己表現できる場が欲しいと思います。

日常の中でも、自己表現ができ、それを誰かがちゃんと受け止めて聴いてくれる時、私たがちは、自分がここにいていいんだと思えます。
存在していることにさえ不安を感じている方が多いと感じます。
「ここにいていいんだ」と思えるためにはたくさんの生きるための実験をしていくことが大切なのだと思います。
実験だから仮に成功しなくてもいいんです。分かったことで実験は成功なので。
いつでも必要な時に、実験する勇気が持てる、不安の少ない安心できる場でいたいです。

みんなが、いろいろな生きるための実験ができる場をこれからも作り続けていきます。

本当にみんなありがとうございました!

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冬なのか春なのか?!
2月です。

チーフスタッフ 井利由利

2026年1月30日金曜日

「よつば庵」~チーフスタッフコラム 2026年1月

今回は、1月25日(日)に行った「よつば庵」について書こうと思います。
「よつば庵」とは何か?
40代以上のひきこもり経験者や生きづらさを抱えている人たちの“居場所”です。
年7回、日曜日17時~19時に開催。調理をして一緒にご飯を食べる会と、調理なしで食事を買うなどして食べる会が交互にあります。

さて、1月25日に13名の方が茗荷谷クラブの205号室に集まりました。
この日は、茗荷谷クラブのOB・OGの方がほとんどでしたが、チラシやHPを見てきてくれる方も2割ほどいらっしゃいます。
本当に20年以上のお付き合いの方が集まって(私たちスタッフも)まるで親戚のような感じです。
新しい方が来たときは、皆さん目を輝かせてお迎えします。

この日は調理なしの日でした。
前回はチキンカレーを作ってごはんをたくさん炊いて食べました。
おしゃべりしながら食事が終わるとまずは近況報告、自己紹介をします。
就職先で頑張っている話や、就職活動をしている人、「最近なぜかもててます」とか、ちょっとした「こんなことがありました」「今、こんな状況で、困ってます」の話など、自由に話します。
少し緊張する時間ですが、一言話して聞いてもらえると、なんか落ち着いて楽しくなってきます。

そのあとは二つのグループに分かれて「楽しくおしゃべりしたいグループ」と「少しシリアスな話とか困っていることの話をしたいグループ」に分かれます。
私は後者のグループで6人くらいで話しました。
この日の話題の中心は、年取ってきた親との付き合い方とか利用できる福祉制度についてでした。

年7回の集まりですが、来ても、来なくても、“居場所”がある!ということがとても大切だと感じます。
何か目的をもって集まるわけではありません。何かを達成しようとして集まるわけではありません。

世間では、何か目的がないと集まれないような、「なんのために集まるの?」といった風潮を感じます。
そうではなくて、ただそこに集まって、何やら今日、こんなことがあってさとか、あそこに行ったらすごくよかったんだよとか何気ない話をして聞いてもらって、時には駄洒落を言ったりする、そこに行けば、自分のことを知ってくれている誰かがいて、話ができる、そんな空間が少なくなっているような気がします。

そんな場所が、とても私たちの、このいつも何かに追われているような、何かしなくちゃ!と焦っている生活に必要な気がします。

だから、ただの居場所だけど続けて、そしていつもそこに“いる”顔になっていきたいと思うのです。
40代以上の方、ぜひ、どうぞ!

本年もどうぞよろしくお願いします。

チーフスタッフのおうちのねこ
こんな風にリラックスできたらいいな

チーフスタッフ 井利由利

2025年12月24日水曜日

「謎解き」~チーフスタッフコラム 2025年12月

東畑開人さんの「カウンセリングとは何か―変化するということ―」を読みました。
とても面白かった!がまずの感想です。ぜひおすすめします。


一番感銘を受けたのは『謎解きとしてのカウンセリング』です。
謎解き…なんかワクワクするし、異世界から日常へのつながりを冒険するような危険と隣り合わせだったり、「心の揺らぎ」(著者の言葉)を経験しながら目的地へ向かっていく感動があります。
まず、謎解きという言葉をチョイスしたことが、すごい!と思いました。
そこで、今回は「謎解き」からインスパイアされたことを書きます。

いつものように電車に乗って職場へ向かう…前を歩いている人の歩みが遅すぎて追い越すには人が多すぎて電車に乗り遅れそうになる・・よく見たら歩きスマホをしてるじゃないか!イラっとする。蹴とばしたくなる…しないけど。

今日はやけにイライラするな、そんなこと気にならない日もあるのに・・・なんで今日はこんなにイライラするんだろう?

イライラした自分にイライラして不機嫌になる。これは良くない。

そこで謎解きだ。なんで?寝不足?疲れてる?もちろんそうだ。ずっと寝不足だし。
仕事が終わって帰ったら夜11時なんてざらだし。そう、疲れている。

だからこんなにイライラしているんだ。言葉にして意識化できた。つまり、謎が解けた。
なんかすっきりした。
だからしょうがないじゃん。「しょうがない、しょうがない」とつぶやいて自分を許す。
さあ、気を取り直して出勤だ。

ここで整理してみると、
ポイントの①は、まず、自分の気持ちに気づくこと―この場合はイライラしている自分の気持ちだ。そしてイライラしている自分に対してイライラしていることに気づく。これはある程度意識していないと気づけない。意識化する。イライラの多くは実は自分に対してなのだ(なのに人にあたってしまう)。とても大事なポイントだ。

ポイントの②は、謎解きだ。自分の気持ちに気づけば、謎解きに入れる。謎が解けると前を向ける。
ただし、謎解きをしようとすると、多くのネガティブな出来事が芋づる式に出てきてしまうこともある。これは危険信号なので、いったんやめたほうがいい。誰かと一緒にやるカウンセリングが必要かもしれない。自分の危機の度合いが評価できる。

そしてポイントの③、自分を許すこと、だ。これがいちばん肝要。謎解きができなくても①から③へ飛んで「しょうがない」と自分を許すこともできる。

日常的に危機状態(著書では心の非常時)にあるとしたら、例えば、同じことを何度も繰り返してしまうとか、どうにも不安や恐怖が取れないとか、どうしても意欲がわかないとか、どうしてそうなのかわからない、どうしていいかわからないなどがあって、謎解きをしてみようと思ったら、カウンセリングを受けてみるのも方法の一つだと思います。

最後にひとつ、東畑さんはこうも書いています。
「カウンセラーの最も重要な仕事は、自己と心の世界のどの部分を、どれだけ変化できるか/させるかを判断することにあります。これを間違えて、心のせいじゃないものまで心のせいにしてしまうときに、カウンセリングは暴力になってしまいます。」

歩きスマホをしている人がやっぱり良くないですよね!

さて、茗荷谷クラブに着いて「今朝さあ~」とスタッフやメンバーさんに話すとイライラもどこかへ飛んでいきます。やっぱり人に聞いてもらうのが一番ですね!


*****


ゆったりスペースのクリスマス会。
メンバーさんの手作りのクリスマスツリー!
なんて暖かく素敵なんでしょう!大いに盛り上がりました。


チーフスタッフ 井利由利

2025年11月25日火曜日

「子育てと子どもの権利」~チーフスタッフコラム 2025年11月

11月9日(日)台東区でひきこもり講演会がありました。
私の友人でもあるとても優秀で魅力的な、SSWの谷川由起子さんに講演をお願いしました。

西東京市で一緒に子どもの権利擁護委員をやっていたことがあります。
今回の講演では、「子どもの権利」の視点を交えて「学校が苦手だった子どもたちの家族へ」のテーマでお話していただきました。
不登校は、35万人と言われ、増え続けています。

さらに、ひきこもった方の60%以上に不登校経験があります。
不登校からずっとひきこもっていたわけではなく、通信制やサポート校、単位制高校や、定時制など未進学というわけではないのですが、ほどなく行けなくなって高校を退学したり、何とか卒業したけれど、「心情はひきこもっていました」という方、大学に行けなくなったり、就活で躓いたりと、その様相は様々ですが、なんらかの困難さを抱えたまま思春期、青年期を過ごさなければならなかったことがうかがえます。

どうすれば予防できるのだろうか?学校など関係なく、生き生きと生きることができたら、そうした環境があればひきこもらなくてもよかったのではないかと思います。

子どもが当たり前に、勉強したり、遊んだり、休んだりする権利を私たち大人は奪ってはいないだろうか?
子どもが何か自分にかかわる大事なことを決めることの権利を奪ってはいないだろうか?
自分の意見や気持ちを言う権利を奪ってはいないだろうか?
聞く人がいなければ子どもたちは黙るしかないのです。

子ども相談室で子どもたちからくるたくさんの訴え、もやもやした気持ち、納得できない気持ちを聞いていると、きっと今ひきこもっている方たちもそんな思いを抱えてきたのではないかと思います。

権利をはく奪されてきた方が新しい自分を再構築し、そして自分の意志で生きることができることは大変なことです。

親は、自身の不安や心配を、彼らに投げ込み、あるいは価値観を押しつけてはいないだろうか?
そして親子の未分化によって彼らの成長しようとする生きる権利を奪ってはいないだろうか?

子育ては決して生易しいものではありません。
3人の私の子どもたちに望むのは、それぞれが、自分が選んだ人生を自由に生きて欲しいということにつきます(とはいえ、子どもたちが小さかった頃にもそう思えていたか?と言えばあまり自信がありませんが。)

最後に谷川さんが紹介してくれた俵万智さんの短歌を紹介します(谷川さん、ありがとう!!)。
何度読み返しても、涙が出そうになります。この歌は、茗荷谷クラブを卒業していった彼ら、彼女らに対しても同じ気持ちです。

振り向かぬ子を見送れり 振り向いたときに振る手を用意しながら
最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく その連続と思う子育て


写真を撮りにみんな外へ行き、アルバムを作りました。
私はクラブのお部屋でお留守番でした。ヤドンがいてくれました。


チーフスタッフ 井利由利

2025年10月21日火曜日

「40周年を迎えて」~チーフスタッフコラム 2025年10月

11月16日(日)に(公社)青少年健康センターの40周年式典を行います。
40周年…すごいですよね。
茗荷谷クラブは1988年1月に開設されました。37年間です。今回は茗荷谷クラブのこれまでとこれからについて思うこと、こもごもを記してみようと思います。

1988年開設され、私は1991年に研修生として研修料金をお支払いしてクラブの活動に携わりました。
当時、「ひきこもり」という言葉はなく、主に精神疾患や神経症の若者たちが家や学校、職場で居場所を失い、行けるとしたら病院のデイケアくらいしかないと、通ってきていました。
当時は、まだ不登校や精神疾患(そもそも発達障害という言葉もなく)に対する偏見も強く、茗荷谷クラブはむしろ地域社会から隠れるようにひっそりと看板もなく活動していました。

1998年に斎藤環先生の「社会的ひきこもりー終わらない思春期ー」の著書が出され、「ひきこもり」という言葉が広まりました。
何らかの形でドロップアウトし、「社会的ひきこもり」という名を得た若者たちが、必死に自分たちが生きることのできる場所を探そうとしていました。
茗荷谷クラブにもたくさんの若者たちが来ていました。

ひきこもり問題は若者支援にとても大きな影響を与えています。
学校から卒業した18歳以上の若者たちが、さまざまな困難を抱えているのに、だれにも相談できず、だれにも助けてもらえずに、悪いのは全部自分のせい、ダメな自分と自己否定に苛まされて「自己責任」という言葉の下、ひきこもっていきました。

子育て支援はあるものの、この支援の穴ぼこ(狭間)を埋めなければと国もようやく動き出し、2010年に「子ども・若者育成支援推進法」が施行されました。

2014年、世田谷区の方が「若者支援をやりたいんだ。ぜひ協力してほしい」と強い思いを持って、茗荷谷クラブを訪ねてきてくださいました。それが行政とのかかわりの最初でした。
実はその前にも、私は文京区の保健センターを訪ね、文京区で若者の居場所とカウンセリングをやっている、ぜひ官民協働で一緒にやらせてもらえないかと何度も足を運んでいました。

2014年文京区ひきこもり事業「STEP」受託。2016年台東区若者支援推進事業受託、2019年葛飾区若者支援事業受託、2022年千代田区ひきこもり支援業務受託と進めてきました。

心を砕いたのは見えにくい評価の言語化です。
役所の常識は費用対効果です。数値でひきこもり問題は図れない、その人がその人らしく、自己決定、自己選択できること、自分の人生を自分で歩む、生きる意欲をもってもらえること、行政の方たちと、分かり合える言葉をなんとか見つけようと必死になってやってきました。

私を動かしたのは、当事者の方たちから聞かせていただいた、たくさんの想い、生きるって何だろうという問いです。
そして積み重ねてきたその人1回限りの独自の事例です。

ようやく、社会参加の実現や就労はプロセスであり、それのみがゴールではない、本人及びその家族自身の意思で今後の生き方や社会とのかかわり方などを決める「自律」を目指すというところまできました。

それではこれから私たちはどうすればいいのでしょうか?
もちろん実践と報告は大切です。そして、私たちが、ワクワク感やときめきをこれまで以上に持ち続けることができるか?が大きな課題だと思います。

様々な困難を抱えながらも、生きようとしている若者たちから私たちは社会のあるべき姿を教えてもらっていると思います。
彼らは、この社会をどうすればもっと生きやすくなるかを真剣に考えています。
彼らの言葉を聞き、対話していくこと、双方向のコミュニケーションをしていくことが、大切なのではないか。
そして困難な境遇にあって心に悩みを持つ人が生きやすい社会、多様な人々が共生する社会を、私たちも当事者も共に社会の一員として発信していくことが大切なのではないかと思います。

でも、でも・・・そのための具体的な手立てをまだ模索中です。
ぜひ、当事者の方、そして皆の力、意見や考えを聞かせて欲しいと思います。

金木犀の花。とってもいい香りがしています。

チーフスタッフ 井利由利

2025年9月25日木曜日

「支援って何?」~チーフスタッフコラム 2025年9月

暑さが少し弱まってきましたね。
相当疲れが来ているような気がしていますが、皆様いかがお過ごしですか?
もう、頑張っている自分を褒めるしかないです!

9月15日、臨床心理士会の研修を受けました。4時間だったのですが、とても充実していてよい研修でした。テーマは「こども・若者の生きづらさとアディクション」です。
薬物依存だった当事者の方お二人のお話が最も印象的でした。

詳しくはお話できないのですが、当事者の方のお話を聴いて考えさせられました。支援って何だろう?と。ずっとこれは私の中のテーマですが。
いうなれば「一人の人として、かかわりたい、ということが、根底にあって、その上に専門性が乗っかる」イメージでしょうか。

でも、一人の人としてかかわるって、これって当たり前のことですよね。人と人がかかわるときの。

講師の先生の言葉の中にもあったのですが、「秩序を拒否し、秩序を否定する」という言葉にとても心を動かされました。当事者の方は、秩序から排除され、筆舌に尽くしがたい壮絶な人生を生き抜いてきました。私が出会う生きづらさを抱えた若者たちもそうです。

そうであれば、彼らに対峙する私たちに求められるのは、秩序を拒否し、秩序を否定する姿勢です。寄り添うとか、共感よりも、その姿勢を持つ大人や援助者がいて欲しい。正しいとか正しくないとかの次元ではなく、自らの秩序を能動的に構築していくための余白が欲しい。

マニュアル化、援助のサービス化、管理社会(監視社会?)
秩序がますます強化され、かつての暴走族や、校内暴力は影を潜め、「逸脱」を恐れる人が多い。

秩序にのっとった専門家は無力である。一人一人は独自で、それは専門家も一人の人間だから関係性もそれぞれ変わってくる。マニュアルなんてあるわけがない。でも無秩序では、やっていけず、支援者の心が折れたり傷ついてバーンアウトしないようにしなければならない、倒れてしまっては元も子もない。この狭間でどうバランスをとるかが、実際にはとても難しい。

お話の中で、グループこそ大事だというお話もありました。
グループは当事者が先導する部分が大きいです。茗荷谷クラブでの活動は、メンバーの方に先導されて、スタッフがそうだ!やろう!って思って作ってきた活動がほとんどだと言えます。雑談や遊びを通して私も生きなおしてきました。メンバーさんが教えてくれたことが、山ほどあって、自ずと自身の考え方や価値観、生き方が変わり、今も変わり続けていると思います。

双方がお互いに生きなおせる場がグループ(居場所)です。そこには、楽しさ、喜び、発見!があります。
ぜひ、覗きに来てください。

茗荷谷クラブメンタル部門相談室
なかなか陽に当ててあげられないけど頑張って育ってくれています。
                           

チーフスタッフ 井利由利

2025年8月19日火曜日

「社会参加準備講座」~チーフスタッフコラム 2025年8月

7月25日に茗荷谷クラブで、「社会参加準備講座」を行いました。
『枠にとらわれない「わくわくワーク」の見つけ方 ~地域若者サポートステーション、(株)みらい人事をお招きして~』です。

茗荷谷クラブは「居場所」であって、就労を目的とはしていません。

昨今、「ひきこもりのゴールは就労ではない」「自立ではなく、自律だ」と国も方針の転換を図っています。

茗荷谷クラブは、実存が不安定な若者がどう主体的に生きていくか、そのプロセスが大事。
ゴールはこの社会での「人とのつながり」や「生きる覚悟」だ、と考えています。

そのプロセスの中で、実際には、多くの方たちは、どうやって生きていくのかを真剣に考え、「働く」ことを求めていきます。
彼らにとって、「働いていない」ことの罪悪感は大きく、そこから解放、自力でお金を稼げる経験ができると、やっていける希望につながります。
なんといっても、現実は、市場経済社会ですから。

ただし、仕事の本質は、他人を楽にさせる活動。その対価にお金を発生させたものがいわゆる「仕事」。日曜大工、家事手伝いやボランティアも立派な「働く」。

大切なのは、彼らが自分で納得して、選んでいくこと。そして、できれば理解してくれる場での模索しながらの働き方、働ける場を、一緒に探したい。「働く場」での生きる経験を積み重ねながら…と思います。

厚生労働省『ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~』(令和7年1月31日)によれば、「自立ではなく、自律だ」と。
「“自律”とは、自分を律するとか、社会に適応することではなく、本人や家族が自分はどう生きていくのかを決めていくことであり、そのプロセスを共有しながら共に考えていくことこそが支援」、「従来の“医療モデル”の支援だけでなく、新たな“社会モデル”の視点を基本とした価値や倫理に基づく支援へと変化させた」
ということになります。

理念を明確にしたことにはとても意味があります。
でも、それだからこそ、いったいそれでは「自律」を目指すって、具体的に何をすればいいのか?があいまいになっている感は拭えません。

理念が当たり前になっていくための具体的な支援の一つとして、働きたいと思っている方たちに向けて、今回新宿サポステの方と(株)「みらい人事」の方にお話を伺いました。
オンラインを含めて、19名の方が参加されました。

わかりやすい具体的な支援のお話がたくさんありました。
一つ、紹介します。みらい人事さん(厚生労働省から委託された民間のハローワーク)から仕事探しのポイントのお話がありました。

「やりたいこと」(興味・関心)「やれること」(能力・資質)「求人」(有無・倍率・ボリューム)の3つの輪が重なったところを冷静に見る。
特に自分の能力・スキルの棚卸は難題。これらは、一人でやらない方がよい。

お話を聞いていて、3つの輪の重なりを見ることはとても難しく、勇気のいるつらい作業だけれど、大切なことは、その方が納得できるまで、どこまでもその方のお話を聴くことなんだよな!時間はかかっても・・・と思いました。

話をキチンと聴いてくれる方がたくさんいること、そのことが心底“信じられる”ということが、実はとても大変なことです。
そんな風にみんながなっていけるように、たくさん話してたくさん遊んで、いっぱい楽しんでいきたい、と改めて思いました。

そして、ソーシャルワークとして社会への働きかける視点も持つ、そのような姿勢で取り組むことの大切さを切に思います。

全然テーマと関係ないですが・・・
500円でこのクオリティ・・・!ガチャすごい!
by井利

チーフスタッフ 井利由利

2025年7月17日木曜日

「自分がわからない」~チーフスタッフコラム 2025年7月

暑い日が続いています。
先日、スタッフミーティングで「自分がわからないってどういうことだろう?」そんな話になりました。
「自分がわからない」を日常に落とし込むと、どういうことになるのか?について話しました。
それを今回書いてみようと思います。

メンバーさんやカウンセリングに来るクライアントさんから、よく聞く言葉に「自分がわからない」「自分がない」という言葉があります。

「相手が何を期待しているのか、どういうことを話して欲しいのかを常に考え、それに合わせていくことばかりを考え、自分の気持ちとか自分の好きなことや、やりたいことを話すことをしてきませんでした。そんなこと思いもしなかったです」。

「ある日ふと、あれ?自分がない!自分ってなんなんだろう!?って思ってすごく怖くなり、これじゃ生きていけない、怖い!と外へ出ることができなくなりました」。

ある日、自分がなくなった感じ…それはどんなに恐ろしく、不安と恐怖で苦しいだろう、想像を絶する恐怖感だと思います。想像するだけで怖くなります。

自分のことがわからないと、社会的規範、いわゆるべき思考、こうすべき、こうあるべき、の指針をどんどん強めていくことになります。
「ひきこもっているうちにどんどんめんどくさいやつになっていった・・・」という言葉。

べき思考が強くなり、でもそれは天井がありません。しかも頭ではわかっていても心がついていかず「できない」ので、よりバラバラな自分、ダメな自分感覚を強めてしまいます。

「やりたいことをやろうとしても、いつの間にかそれがやらなければならないことになってしまって、そうなると、完璧を求め始めるので、負荷に押しつぶされてできなくなるし、完璧にできないので0にしてしまいます。」

私たちには、頭ではわかっているけれど、心がついていかない、心が納得してくれず、「できない」ことが多いです。カウンセリングは、それを自分の言葉にして他者に伝え、客観的に俯瞰し、明確化し、無意識にある潜在的な力をひきだしていくものです。

ですが、カウンセリングよりも、もっと大事なことがあるのではないか・・・。

それは、体を動かして、思いっきり動き、感情が自然に出てしまうほど楽しんで、あるいは、みんなでボードゲームをやりながら、その場で思ったことを思わず口にしてしまう瞬間を楽しむことです。いつの間にか、それこそ、ふと、自分が自分である感覚を取り戻す瞬間があります。
長年カウンセリングを生業にしていますが、実は、その瞬間の積み重ねが最も大事なのではないかと。

子どもたちはより深刻です。コロナで大切な3年間、したいことを我慢させられ、友達と思いっきり遊ぶこともできなかった子どもたち。
今、感情が出ない、本音が出せない、例えば子どもたちにプレイセラピーをしようとしても遊べない子どもたちが増えています。若者たちは、より内閉化し、10代のリストカットやオーバードーズは激増しています。

・・・スタッフミーティングでそんな話になりました。

まずは今の子ども・若者たちの抱えている困難さを知り、遊べる、何をしててもいい居場所がたくさんなければなりません。生きづらさを抱えている方たちにとっての生きやすい社会・地域は、誰にとっても生きやすい社会だからです。

カモよ、君はなぜここに。。。?
なに、おもう。。。?

チーフスタッフ 井利由利

2025年6月13日金曜日

「ボードゲーム」~チーフスタッフコラム 2025年6月

茗荷谷クラブでは、午前中のフリータイム(午後はプログラムタイムです)に、毎回のようにボードゲームやカードゲームをやっています。
どんなゲームをやるか、やらないか、はもちろん自由です。
毎回お部屋に15人くらいの人が集まるので、だいたい3部屋に分かれてゲームをすることが多いです。
もちろん、おしゃべりだけだったり、ギターを弾いたり過ごし方は人それぞれです。

こんなにボードゲームをやっているのに、その魅力について書いたことがなく、今回は挑戦してみます。
その魅力を言葉にするのはとても難しく、メンバーさんのほうがずっと上手だと思うのですが・・。

ゲームは、クラブに50種類以上あります。おおざっぱに括ると、、、

①戦略的に勝負をしていくゲーム
=『カタンの開拓者たち』に代表される戦略的に頭を使って資源を集め、土地を拡大して勝敗を決めるゲームです。
論理的思考が必要で、クラブでは人気のゲーム。うまく交渉しながら、資源を集めます。
「その資源を交換したら、○○さんを勝たせちゃうよ」「えっ?今一番勝ってるの誰?」「やばいけど、ここは自分のことを考えたい」「わかった、じゃ、僕とこれ交換しない?」などの会話がはずみます。

②コミュニケーションしながら、その人の価値観や普段話していないこと、意外なところを知ることができるゲーム
=『アンゲーム』や『ガムトーク』、『サンレンタン』、『ディクシット』など。このジャンルもクラブではとても人気があります。
自己紹介的な要素もあり、コミュケーションが苦手と感じている人も、慣れてくると参加してくれます。
カードのお題について一人がお話しするとそれに関連して自分のことを思わず話して、楽しくなったりします。
『ディクシット』でも、「えー!これ絶対みんなに共感されると思ったのになあ」「わかる、わかる」「どこに注目?なるほどそうかあ。へーすっごいね!」など新たなその人の人柄に触れることができます。

③騙しあい、心理戦ゲーム
=『人狼』や『お邪魔者』に代表されるゲーム。
うそをついて騙したり、うそをついている人を見抜いたりしていくゲームです。
すぐ顔や態度に出てしまう、さらに論理的思考が苦手な私にとってはかなり苦手な部類に入りますが、やるのはとても好きです。
駆け引きのようなやり取りがとても楽しいです。

④協力ゲーム
=『ito』『ジャストワン』『ボブ辞典』などに代表されるゲーム。
みんなで協力して達成感を味わうゲームです。
何とか協力して答えを導き出すことができたときは大きな拍手が起こります。
推理ゲームもみんなで協力しながら推理していくもので、これもとても人気があります。


ゲームはどれも運要素が大きく影響します。
運と、頭を使うことのバランスの塩梅がそのゲームを面白いと感じるかの肝になっていると思います。
頭を使いたくないときは、ただただ運に任せたゲームもいいですね!

ゲームは勝敗を意識しますが、対面で仲間たちとやっていると、勝敗よりもみんなが楽しめるようにゲームを進めようとする利他的な行動がみんなの中に生まれ、増えてきます。
これは、茗荷谷クラブでの実感です。

とにかく、めちゃめちゃ楽しい!


(※茗荷谷クラブに常備しているゲームの一部です)


ボードゲームについて考え、調べていたら、ネットで見つけました。

『2023年11月、〈河出書房新社〉より発売された新書『ボードゲームで社会が変わる 遊戯するケアへ』は、近年の流行についての分析や、往年の名作ゲーム解説を通じて、ボードゲーム体験の「本質」を問う一冊です。「能力至上主義」ともとらえられる現代社会の中で、対面で一緒に遊ぶことがどんな効能をもたらすのか、さまざまな角度から考え「ボードゲームを思想にする」ことを目指して著されました。』

『個々の人生に努力や才覚ではままならない運・不運があることを皆が了解する社会は、すべての成功や勝敗を個人の資質や努力に還元したり、すべての失敗を個人の自己責任に帰したりする態度に歯止めをかける。』(ネットから引用)

すみません!まだ読んでいません。これから読みます。

チーフスタッフ 井利由利

2025年5月15日木曜日

「時間とゆとり」~チーフスタッフコラム 2025年5月

新緑の季節となり、外の空気は気持ちがよく、とてもいい季節となりました。
でも、頭の中にあるのは「今のうち外へ出ておかないと、夏になったら暑くて大変なことになる…今のうち、今のうち・・・」となぜか焦っているのです。
今年の私の目標は「ゆとりを持つ」なのに、やはり時間に追われ、こうなったら困るからこうしよう、が、いつの間にかこうしなければならないとなって結局時間に追われているような感覚を持っています。
ここでゆっくり深呼吸をして、はて?と時間とゆとりについて考えてみました。

ある方が「目標をもって、そのためには今これをやらなきゃと逆算していると、結局自分を追い詰めることになって、余裕をなくし、できない自分を責めて落ち込む。それよりも今できることをやっていけばもっと楽に生きられるし、そのほうがおのずと将来につながっていくのではないかと気が付きました」と話してくれました。

いつの間にか、やりたいと思っていたはずなのに、「やらされ感」になっていくんですね。時間を自分が「やらされる」のではなく、やりたいから使うのだと、自分の意志を介入させて主体的に時間をコントロールできているという感覚は大事だと思います。
つい忘れがちです。1日、6,000歩以上歩きたい!と思って始めたのに、いつの間にか6,000歩以上歩かねば!あ!どうしよう時間がない!ああ、できなかった・・・。となります。自分でこうしたいと思ったのだから、するもしないも自分で決めればいいことになのに。

やらなくていいことはやらないで今の自分にとって大切なことに時間を使えばいい、そうだ私は今、休みたいじゃん。・・・。なんか気持ちが落ち着いてきました。

先日、「ひきこもり等生きづらさに関する講演会・合同相談会」(5/6)に行ってきたのですが、その中で益田裕介氏が(精神科医ユーチューバー)次のように言っていました。
「5分くらいただ眼をつぶって瞑想ができるかどうか?できない人は精神エネルギーがない人」と。
なるほど、そういう状態のときは、休む、ぼーっと過ごす、よく寝るのが大切なのに、そういう時に限ってあれこれとエネルギーもないくせに頑張ろうとして疲れ切ってしまうのが常だなあと。
自分が許せなくなるんですね、きっと。何かに追われていると(つまりは罪悪感を持っていると)5分の瞑想も難しいです。

余裕を持つと人間関係がよくなり、人にやさしくなります。きっと自分にもやさしいからですね。

ああでも、結局私は休日にまた、タスクをこなさなければと一所懸命にこれを書き上げたのです。
・・・・・・。
さて、散歩でも行きますか。

※茗荷谷クラブで行ったストーンアート。
お気に入りの石を公園でみんなで拾いました。
もっと素敵な作品はたくさんあったのですが、とりあえずワタクシのです。

チーフスタッフ 井利由利

2025年4月21日月曜日

「茗荷谷クラブのプログラム」~チーフスタッフコラム 2025年4月

新年度が始まりました。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。

茗荷谷クラブでは、毎年度、3月に「振りかえり」のプログラムをやっています。
今年度のメンバーさんと共にプログラムを振り返ろうというものです。
そこで、今回は、年間の下半期のプログラムをざっと紹介したいと思います。
※(ほっと)はほっとスペースのプログラム、(SST)はSSTグループのプログラムです。

10月4日(ほっと)クリアリング・スペース(自分の問題から心の距離をとる)
10月9日(SST)○○愛を語ろう(自分の好きなものについて語り合う)
10月11日(ほっと)偏愛マップ(自分の偏愛するものを図にして語り合う)
10月16日(SST)教育の森でFCを育む(遊びながら自分の中の子どもの心を開放)
10月18,19日(合同)秋の一泊旅行@岩井海岸
10月23日(SST)私の人生曲線(自分の人生をできるところを曲線で表し振り返る)
10月25日(ほっと)秋の絵手紙講座(公園に行って絵手紙を制作)
10月30日(合同)フリーデー
11月1日(ほっと)課題達成(7つの島の伝説の課題を解く)
11月6日(SST) 気分の落ち込みを癒すには(落ち込んだ時の対処法をみんなで)
11月8日(ほっと)自主プロ会議(メンバーさんでやりたいプログラムを会議)
11月13日(SST)美と毒(?)
11月15日(ほっと)ゆがみん(自分の思考の癖を考える)
11月20日(合同)スポーツ大会
11月22日(ほっと)自主プロ(芋と栗とカボチャのフェス@大久保公園)
11月27日(SST)Value85(自分の価値観を知る)
11月29日(合同)フリーデー
12月4日(SST)クリスマス会準備(役割を決めて企画、準備)
12月6日(ほっと)クリスマス会準備(役割を決めて企画、準備)
12月11日(SST)なんちゃってPFスタディ(自分の欲求不満場面での行動を知る)
12月13日(ほっと)居場所鍋(居場所について話ながら鍋を作って食べる)
12月18日(合同)クリスマス会@かるた会館
12月20日(ほっと)今年の十大ニュース(それぞれの十大ニュースを語る)
12月25日(SST)忘年会(鍋を作って忘年会)
12月27日(合同)フリーデー

というわけで、書いていたらすごく長くなってしまい、まだ半分ですが、こんな感じでやっていることが伝わったでしょうか?

1月には初詣と大掃除、書初め、2月はガトーショコラ作りや聞香、漫画アテレコ、セルフコンパッション(自分に思いやりを持つ)、そして行事は、ボウリング大会、文化祭@シルクロードカフェ、3月は、漢字フォーカシング(その人を感じ一文字で表して交換しあう)、座布団カバー直し、曼荼羅アート、お花見などをやりました。
ブログにもたくさん記載がありますので、ぜひ、ご覧ください。

プログラムは、小グループになって、メンバーさんもスタッフも、対等に話し、考えます。私自身も改めて気づくことがとても多いです。
人気があるのは、やはり食べたり、体を動かすものです。楽しい!が一番ですね!

午前中は毎週、フリータイムで、自由に過ごしています。プログラムもフリータイムも、もちろん自由参加です。フリーのほうが少し参加者が多いです。

居場所を探しているけれど、どこに行ったらいいかわからないという方も多いと思います。参考にしていただき、ぜひ一度見学にいらしてください。
スタッフもメンバーさんもみんな待っています!


「ポケモンGOのイワンコと一緒にお散歩しているところ」by井利
かわいくて癒されます!

チーフスタッフ 井利由利

2025年3月18日火曜日

「齋藤友紀雄先生ご逝去にあたって」~チーフスタッフコラム 2025年3月

令和7年2月25日 齋藤友紀雄先生がご逝去されました。享年88歳でした。
齋藤友紀雄先生は、1985年から青少年健康センターの設立に携わり、2004年から2021年まで会長、2021年からは名誉会長として、ずっと、私達を見守り教えてくださった方です。
その他にも、自殺予防活動への社会的貢献により、国際リングル賞受賞。「いのちの電話」、「CCCキリスト教カウンセリングセンター」など、たくさんの悩み苦しむ方々のために尽力されました。

3月7日に葬送告別式が行われ、参列致しました。その時に追悼の意を表させていただきました。
今回は、そこでお話させていただいたことを少し記したいと思います。

追悼
私は1991年から茗荷谷クラブのスタッフとして活動していました。
2006年ごろでしょうか、青少年健康センターが実はとても財政的に苦しく、このまま活動を続けていけるのだろうか、スタッフの生活を支えるだけの給与が払えない、何とかしなければと言う危機を迎えていました。
2009年に齋藤先生と飯田橋の教会でお会いしました。
私の不安や不満を丁寧に聴いてくださり、現場スタッフに迷惑をかけて申し訳ない、これかも一緒にやっていきましょう。寄付文化は日本ではまだまだですが、僕は頑張りますよ、とおっしゃってくださり、勇気づけられたことを覚えています。
その後も何度か先生のご自宅の近くの阿佐ヶ谷の喫茶店でお話を聞いていただきました。

ひきこもり支援は自殺とは切っても切れない関係にあります。
私達スタッフは常にだれかの死と向き合い、死んでしまうのではないかとの思いと自らの中で戦いながら関わっています。

齋藤先生は、「自殺は特定の個人だけでなくコミュニティーの全体の問題」としてとらえられており、この視点が日本では欠けてきたのではないかと話され、社会の問題との意識を広げてくださいました。
日本政府は2001年に初めて自殺対策を立ち上げ、2007年には自殺対策総合大綱が決定されました。

また、齋藤先生は「自殺もひきこもりも、心の弱さを抱えている若者の支援が共通の課題です。本当に必要なのは『ケア・温かいまなざし』です。そのためには『弱さ』そのものを認識し、弱さを受け入れることが必要です」。「自分自身の弱さ、他者の弱さを受け入れなさい。そしていつでも助けを求めなさい」とあの、柔らかいやさしいお顔でおっしゃってくださっています。
私は、その言葉をいつでも胸に刻み、斎藤先生に支えられてきました。
青少年健康センター茗荷谷クラブを40年近く続けられてきたのは、斎藤先生がいてくださったからです。
本当にありがとうございました。どうか安らかにそして変わらず、見守っていてください。
ありがとうございました。

心からご冥福をお祈り申し上げます。


チーフスタッフ  井利由利

2025年2月13日木曜日

「老年期の心理について」~チーフスタッフコラム 2025年2月

文京区では、今年度、「文京区ひきこもり支援センター」を中心に、茗荷谷クラブと多くの関係機関が何度も会議を重ね、『ミドルエイジライフハンドブック』や『親亡き後の心配を安心へ~できることを少しずつ一緒に見つけませんか~』のチラシの配布、そして令和6年9/20の『ぶんきょう区報』ではひきこもり・生きづらさサポート特集号を発行し、「誰もが安心して暮らせる地域のつながりについて一緒に考えませんか?」を発行しました。


私達が目指したのは、地域の方々に対し、ひきこもりへ偏見をなくし、ひきこもっていてもいい、何か私たちにお手伝いできることはないかと思える暖かい地域の文化を醸成していくことです。

2020年からひきこもり支援は39歳を超えて全年齢を対象にしました。特に、8050問題と称される80代のご家族の方や長期・高齢化したひきこもりの方に、支援の手があること、希望を失って欲しくないことをどのようにすれば伝えることができるのかが大きな課題でした。

8050問題に取り組み始めて、まだまだ家族の方やご本人にセルフ・スティグマを持ち、恥の意識がとても強いことを感じてきました。とても難しく、困難を感じています。でもそのなかでも、多くの親御さんとお話しし、教えていただくことも多くあります。

「今から本人が働くことをもう望んではいません」。「ただあの子の人生を想うとどうすればよかったのかと後悔ばかりが浮かんできます」。

まぎれもなく否定的な悔やみ切れない過去、さまざまな挫折、何よりも子どもを自立させることができなかったという深い悲しみや自分自身への怒りを抱えています。

私達に何ができるのだろうか?
訪問する、医療につなぐ、居場所に誘う、他機関と話しをしながらあらゆるリソースを使う・・・。それでもなかなか難しいです。

高齢者の心理の視点から考えてみたいと思います。
老年期において老年者が直面する心理的過程は、何十年と生きてきた自己、現在に生きている自己、そして不確かな未来に生き続けるであろう自己の意味を理解しようとすることです。そのことによって、今までの生活や人生の喪失感と自分自身の今感じる幸福感とのバランスをとる時期であると言われています(エリクソン他1986-1990)。
あるお母様は、亡くなったご主人との思い出のお写真をたくさん持ってきてくださいました。そこには、素敵でダンディなご主人と美しい奥様、そして凛々しい青年がにこやかに笑っていました。そんな過去の楽しい思い出を語りながらご自身を振り返り、「なにか原点に戻れたような気がします。無理せずに自然体で行こうと思います。なんとかなります」と語りました。「せめて私が死んだ後も、あの子が生活していけるように今からできることをします」
そして「お話しを聴いていただいて、本当に助かります。変化はないけど、これからもお話しを聴いていただいていていいんでしょうか?文京区に居て本当に良かったです。安心して暮らせます」と。

自身の人生を語ることによって否定的な意味を持った出来事も、振り返るときの視点の如何によって、肯定的な意味づけがなされることもあり得ます。解決を焦らず、その人その人の人生にゆっくりと寄り添っていければと思います。

何よりも、楽に、穏やかに、暮らしていただきたい、と思います。

チーフスタッフ 井利由利

2025年1月16日木曜日

「共感と合意」~チーフスタッフコラム 2025年1月

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

忘年会やら新年会やら、改めて話したり、笑いあったり、楽しい時間があったり、普段会えない家族がお正月に来たり、年末年始はやはり大事な節目であると思いました。
皆さんはどんなお正月でしたか?

年末に、本田秀夫先生の「年代別 発達障害の支援 思春期の支援」と言うユーチューブを見ました。とても分かりやすくてお勧めです。
その中で「共感と合意」と言う言葉が出てきました。今回はそのお話しをしてみようと思います。

「支援」とは何か?
支援と言う言葉は、何か違和感を感じ、好きではないのですが、外部に向ってひきこもりについて話さなければならないときには、使わざるを得ず、何と言えばいいのか?いい言葉が見つからない…とずっともやもやしながらいました。

「支援」と言う言葉は「力を貸して助けること」と言う意味だそうです。
何か、力のある者が力のない者を助けるというニュアンスがあり、いや、力のない人たちじゃないし‥とカウンセリングをしていても、居場所で一緒に活動していても、いつも感心したりリスペクトしたりすることが多いし!

もちろん、発達心理学的に言えば、アイデンティティの獲得が思春期の課題であるのですが、発達とは、その人のペースで、その人なりの花を咲かせることです。
具体的には、誰もが、自己選択し、自己決定し、自己実現に向かう成長へのプロセスにあるというのが「発達」です。

その際に大事にしたいのが「支援」ではなく、「共感と合意」。
本田先生すごいなあ!です。目からうろこでした。
話を聴いて、わからなければ何度でも何度でも話を聴いて共感できること、そして互いに合意していくプロセスが大切です。

やりたくてはじめたはずなのに、つい自分でノルマを課してしまいがちになり、それがしんどくてできなかったり、もっと~しなければのこだわりから過剰適応になりうつになって動けなくなったり、自己選択、自己決定はとても難しいです。
でも一緒に共感しながら試行錯誤に付き合い、そして、頭の整理と情報提供ができれば・・・せめてそれがあれば…と思います。

熊谷晋一朗氏がこう述べています。
『障害者の自立生活運動は、依存先を親や施設以外に広げる運動」だといいかえることができると思います』と。
熊谷氏は「支援」ではなく「自立生活運動」と述べています。
「自分依存」(誰も信用できない、自分が頑張るしかない、人になんか頼れない)ではなく、仲間や人の依存先を増やし、関係を広げることを目指していくこと、「支援」ではなく「共感と合意」をあたりまえにできたらと望みます。

眠いよーと言っているうちのネコ。
見てたら私も眠くなりました・・・。


チーフスタッフ 井利由利

2024年12月24日火曜日

チーフスタッフコラム 2024年12月

第34期東京都青少年問題協議会では、「東京都子供・若者計画(第3期)」の改定に向けて、第3期計画で取り組む事項としての答申案が出されました。(12月19日プレス発表、傍聴あり)。
「困っていたら周囲の人が助けてくれると思う」若者の割合は現状で、57.2%。
「自分の意見が採用されると思う」若者の割合が現状では50.9%。
「自分の行動で社会を変えられると思う」若者の割合が、現状、29.4%。

この現状を見ただけでも、若者の大半が、生きる意欲を持ちにくくなってる、生きづらいことが想像されます。第3期の改定により、この数値を現実の施策を基にいかにあげていくかが課題です。

なぜ、このようになっているのか?今回は、心理学的な視点―アイデンティティ-の話から模索してみたいと思います。

アイデンティティ理論は、発達心理学者エリクソン(Erikson E.H1902-1994 )がその基礎となっています。
エリクソンの発達段階説では、人は、成長するための8つの発達段階における「危機」(社会的危機)があり、それをクリアーしながらその段階の発達課題を乗り越え、成長していくとしています。
青年期の発達課題はアイデンティティの獲得であり、社会的危機は、アイデンティティ拡散とされています。
アイデンティティとは、過去から現在、未来につながる一貫した連続性、独自性を持った自分自身であるという確信。そしてそれが周りの人たちや社会においてもそういう自分であることが一致して認められていることを言います。

青年期のアイデンティティが課題とは言え、現代の若者は今やアイデンティティ拡散状態が一般的になっているとすでに1980年代に小此木(小此木啓吾「モラトリアム人間の時代」)は述べています。
アイデンティティ拡散状態になると、生きづらさを抱えることになります。
アイデンティティ拡散状態とは、自意識が過剰となって自分が、社会の中で、何に向いているのかを模索する「モラトリアム(それを試行錯誤しながら“実験”する期間)」のプロセスを楽しむ活力が失われ、自己定義を回避し、選択できなくなっている状況を指します。
また、自分が拡散しているので、人との距離の取り方が分からず親密になると飲み込まれる不安を抱えることになります。時間が停滞し、未来に対する希望や展望が失われます。

マニュアル化された社会の中で、若者は試行錯誤したりチャレンジする“溜め”の時間を失い“役割実験”ができなくなっています。
このことは青春時代の喪失であり、ひきこもりを生み出す要因になっていると鈴木國文(鈴木國文他『ひきこもりに何を見るか』)は述べています。
なんでもマニュアル通りにやらなければならないは、失敗が許されないと同義語に近いため、失敗できないと身構え、自由に動くことができなくなっているのではないかと思います。
こうした現代社会の中で、従来のアイデンティティを獲得していくことは容易ではありません。

では、どうすればいいのでしょうか?

アイデンティティの獲得は、「大人はかくあるべし」と言うものではありません。
もっと柔軟にモラトリアムを生き抜いていくことが勧められていいと思います。
ここには、アイデンティティ拡散を積極的に肯定的にとらえる視点があります。
上記に述べたアイデンティティ拡散を自覚し、それに陥ることなく「暫定的・一時的な社会的存在であること自体を新しいアイデンティティとして自己を実現していく」(小此木)ことです。

若者たちが、心理的危機を乗り越えるために社会に求められている、オトナに求められているのは、すべての選択は暫定的であっていいという柔軟さとゆとり。人は自分の生き方を生涯にわたって変える権利を持っています。

「あなたはあなた」です。

そして自分の個性は多くの個性に囲まれて気づき、築かれるものだと思います。
様々な大人や仲間との関係の中でその時その時に何らかの役割を果たし、実験をし、安定感を感じ、肯定的な自分らしさを見出して欲しいと思います。


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メリークリスマス!
クラブの皆さんに送ります!


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チーフスタッフ 井利由利

2024年11月20日水曜日

「外遊び」~チーフスタッフコラム 2024年11月

茗荷谷クラブでは、午後の活動時間はプログラムタイムを行っています。
季節がようやくよくなってきて、この機会に外へ出ようと、外プログラムを企画しました。二つ紹介します。

一つは、「教育の森でFCを解放する」です。
FCとは何か?ちょっと前に「私の中のオトナとコドモ」と題し、エゴグラムをやりました。
その中で出てきた自分の心の中の5つの自我状態(CP,NP,A,FC,AC)の一つがFC、つまりFree Childです。子どものこころですね。
私たちの中にある自由な子どもの心をリカバリーしようとするプログラムです。要するに子どもに戻って遊ぼう!外で思いっきり遊ぼう!というわけです。

私たちは自由に行動しているように見えて、他者の目を気にしていたり、何かに監視されているようにしていて、自由に動くことはとても難しいです。

ミシェル・フーコー(1926~1984)は、私たちが自由だと思っているものが、実は自分の心の中に埋め込まれた「監視の目」で作られていると言いました。それは私たちの心に他者からの視線によって植え付けられてきたものです。

また、エーリッヒ・フロム(1900~1980)は、人間は自らの自由を放棄してしまう心理的メカニズムを持つ。つまり、私たちは、「匿名の権威」に支配されているといいます。
「匿名の権威」の装いは「常識」であり「科学」であり「精神の健康」であり「正常性」であり「世論」であると。これらに追従するだけの状態では、私たちは自動人形になる。つまりは、自分を見失ってしまう・・・?

自分は自由なんだという感覚が欲しいですよね!それなのに、困難を抱えた若者たちがこうした観念に縛られ苦しんでいるとよく感じます。

ずっと昔からこんな風に述べてる人がいるのに、私たちはますます監視の目に縛られ自らの自由を放棄しようとしています。
おおらかさを失い、溜めや無駄を排して目的や目標に休むことなく、立ち止まって考えることもなく、お祭り騒ぎのように忙しく動くことを求められている気がします。

フロムは、積極的な自由なパーソナリティの全体は、統合に基づく「自発的な行為」の内に存在すると述べています。
私たちは遊ぶ時、この「自発的な行為」を、自由を、おのずと自然と体験するように思います。
思いっきり体を動かして遊んだ幼かった頃を思い出してください。そう・・・思い出せるといいな・・・と思います。

この日は、『ドン!じゃんけん』とか、『川鬼ごっこ』とか、ボールを落とさないようにみんな『輪になってのバレーボール』とかをして遊びました。
みんなの笑顔が素敵でした。
私たちの中のオトナとコドモが交互に現れ、オトナとコドモを行ったり来たりしてました。
楽しいことが一番です!スタッフも、メンバーもみんなで楽しんじゃうこと、それが一番だと思います。

2つ目のプログラムは、「絵手紙」です。
クレヨンと画盤と2枚の白いはがきだけをもって、公園散策しながら絵手紙を描き、皆で発表して共有しました。
下手でもいいから、クレヨンで下書きもなく思いっきり描いてみると、とても楽しい気分になりました。
うまく描かなければという気持ちに縛られずに自由に描けると楽しいです。

ちょっと恥ずかしい(監視の目?)けど、私の描いた絵手紙を写真で撮りました。手紙の宛先は、自分です!




チーフスタッフ 井利由利

2024年10月29日火曜日

「対話の大切さ」~チーフスタッフコラム 2024年10月

東京都青少年問題協議会第34期では、東京都子供・若者計画(第2期)の改定に向けて協議しています。
第2期は令和2年度~令和6年度までで、この後の令和7年度~5年間の第3期計画の策定になります。
改定の施策推進の視点は、令和5年4月に施行された『こども基本法』令和5年12月に策定された『こども大綱』に基づいています。

『こども基本法』は、心と身体の発達の過程にある者を「こども」とあえてひらがなで表記し、対象に「若者」(18歳~39歳)に関わる施策を含むとしています。

また、若者たちが自分たちの意見を国や都の施策に反映されると微塵も思っていない昨今の現実、意見を表明する場も、機会もない子ども・若者の「意見を表明する機会」「多様な社会活動に参加する機会の確保について、地方公共団体が実施の責務を負う」旨を規定しています。

若者の居場所の拡充など、困難な状況に置かれた若者への対策を強化する方向です。

さて、茗荷谷クラブに、東京都青少年問題協議会 若者支援部会よりインタビューの依頼が来ました。
若者の居場所についてと、東京都への要望等意見を聞こうというものです。

5人まで限定だったのですが、居場所でアナウンスしたところ、5人のメンバーさんがインタビューを受けてくれました。
とても真剣にたくさんお話ししてくれていました。ほんとにほんとにありがとう!

何より必要なのは、話したことや意見に対して、都はどのように受け取ったのか、どのように施策に反映させるのかのフィードバックです。

本来は、話してくれた個々の方に対してフィードバックがあるべしと思うのですが、今のところ都に訴えても、反映させていきたいというだけで納得のいく答えはありません。現実的に難しいことは承知していますが。

西東京市では、子ども会議を開催して、子どもたちが意見を言う機会を作りました。一つひとつの意見に対し、西東京市からのコメントをつけて冊子にまとめ参加してくれた30人の子どもたちに郵送しました。コメントが児童青少年課長や、教育企画課長、教育指導課長などなど、その他、その課題について各所管の課長が一つ一つにコメントを返しました。これはすごいことだと思います。

先日、子ども条例市民講座を開き、市長、副市長、教育長も参加して、『子ども会議発表会・座談会~子どもと一緒に考え・子どもの声を施策化する~』を行いました。

例えば、体育館の自由解放をしてほしいという意見に対して、学校は安全な場所であることが大切で、けがなどの心配があるのでみんなで話し合ったり、ルールを作ったりすることが必要です云々という答えがあったのを見て、ある小学生の少年は「そういうことを言っているのではありません。もっと広いみんなで遊べるところが欲しいということなんです」と発言しました。
そうだよなあ、そういうことじゃないんだよなあと思いながら、対話をしていくことの重要性を改めて感じました。

参加している親御さんからは意見を言えない子ども達もたくさんいる、そういう子はどうすればいいのか?という意見も出ました。

茗荷谷クラブについて「自分の話したことが、必ず返ってくる、必ず反応がある場」と話ってくれた方がいました。逆に言えばそういう場ってあるようでないのかもしれません。

書ききれないのですが、10月18日、19日と岩井海岸に秋の一泊旅行に行きました。いっぱい対話が生まれたと思います。

雨が降ったり風が吹いたり天気は結構大変だったけど、たくさん話して、ほんとに楽しい思い出になりました。参加してくれた方たち、ほんとにありがとう!今回行けなかった方たち、またよかったら行こうね!
海から富士山が見えました!


チーフスタッフ 井利由利