8月21日、文京区の研修で「地域共生社会はどこからきてどこへ向かうのか?」について東京都立大学の室田信一先生のお話を聴くことができました。
印象に残ったことを2つ書いてみます。
一つは、経済的発展と社会の変化についてです。
第1段階:伝統的社会(農業共同体)として地域は、経済を支えるために地域共同体として機能してきました。お互いさまの世界です。
第2段階:経済成長真っただ中、人とのつながりをどう作っていくかという課題が浮かび上がり、自治会活動のアップデートを図ることが推奨され、住民同士のつながりを作るため、各地域にコミュニティーセンターが盛んに設立されました。1970年代のことです。
さらに、1990年代には、情報化社会が進み、個人化が進む中、ボランティア振興が盛んとなりボランティアセンターが全国に社協を中心に作られました。
この時代は地域福祉の時代ともいわれ、住民同士の支え合いの組織化、福祉の分業化、専門的知識の組織化が進みました。
なるほど、このように経済的発展、社会の在り方と連動しながら地域福祉は形を変えてきたのですね。
そして、今、私たちは、第3段階にいます。室田氏は、今を定常型社会と呼びました。経済成長が望めず、しかも、個人の生活がつながりがなくても成り立ってしまう社会になりました。
私たちは経済成長ありきではない社会の中、社会そのものの在り方を見直さなければならない、それが「地域共生社会」である、と提示されました。
なるほどと、思いました。地域福祉と地域共生とはどう違うのか?
私たちはどこへ向かえばいいのでしょうか?
もう一つ印象に残ったのが、人間の行動の変容の側面についてのお話です。人が行動を変えるとき、あるいは行動しようと思うときには二つの側面があります。
1つは、戦略、つまりは頭です。そしてもう1つがハート、つまりは心です。行動が変わるには、戦略的に方法や制度を変えることが必要です。
さらに、やはり私たちはしっくり心に落ちなければ物事を進めることをしません。大事なのは感情とモチベーション、そして自身の経験の物語を語ること、すなわち「なラティブ」です。
その人の語る自身の生きてきた物語を聞くことによって、私たちは行動を変えようとします。2013年に「すべての子どもに教育を」と国連で語ったマララ・ユサフザイさんを、あの衝撃を思い出しました。
地域共生社会に「支援」という言葉、上から何かをしてあげる「支援」は、全くなじみません。
私たちは、物語を語る人たちと「共に」やっていこうとしていますか?
室田先生が、強いハートで、そう言っているように私は思いました。
キーワードは「共感」と「当事者性」です。
どういう世界を目指しているのか?理想論と言われるかもしれませんが、考えることをやめてはいけないと思います。
そして、いつも私にそれを考えさせてくれるのは、ナラティヴを聴かせてくれる茗荷谷クラブのメンバーさんやカウンセリングに来てくれる方々です。
チーフスタッフ 井利由利

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