2023年10月10日火曜日

チーフスタッフコラム 2023年10月

もう15年~20年以上前になりますが、ある方の講演で(誰の講演だったかを忘れてしまいました。申し訳ないです!)、「居場所」についてこんなお話しを聞きました。

「居場所を何十年もやってきたが、ただ毎週決まった時間になんとなく来て、そこに座り毎回同じことが繰り返される安心感、お茶を飲みながらなんとなくこんなことあってさ…と話すことが実はとても大事だった気がする。効果とか目的とか、改善ではなく、共に時間を過ごし、じゃ、また…と帰っていくそれが何かしらとても大事な時間だったような気がする。」(井利メモより)

この言葉がとても心に響き、それからずっと「そうだよなあ」と心に深く刻みながら、「茗荷谷クラブ」を続けてきたような気がします。

私達の日常生活は、毎日が狂乱、お祭り騒ぎになっていてそれに乗り遅れてはいけないような焦り、そしてその世界から降りることができない焦燥感に覆われています。
そんな中で何の目的もなく、ただ集まって時をゆったり過ごす、いつもと同じ人たちがいて、何気ない会話を交わす時間が、実はとても大切なんだと気づかされます。
昔はきっとそんな時間がたくさんあったのですね。でも今は”あえて”作らなければならなくなっています。

茗荷谷クラブでは、様々なメンバーさんの持つ、眠っているかもしれないニーズを掘り起こし、そしてそれにできるだけ応えたいと、様々なプログラム、イベントを行っています。
それは、とても大事なことで、かなり活発であると自負もしています。
でも、居場所の肝は、別のところにもあります。
毎回同じことが繰り返される安心感、いつもと同じスタッフがいつもいること、そして、、、

ちょっとした日常のこんなことあった、こんなことが最近気になって…という話をメンバーさんはそばにいるスタッフにこそこそっと話します。
「そっかー。そうなんだ」「大変だったね」などと話しを聞いて、「相談」というほどでもない「相談」、ちょうどいいグチが言えることはとても大きいと思います。
言ったからといって、特に何か状況が変わるわけでもなく、解決するでもないけれども、少し元気になります。前に進んでいけます。

コロナは、終焉を迎えましたが、そうした何気ない、人と人がリアルに対面する場を求める欲求が以前より減ってきているような気がします。
経済的な「ゆとり」が無くなって、焦って何かをしなければと思っているのかもしれません。
それはますます人々の孤独、孤立を促進するのではないかと、危機感を感じます。

もう一つ、みんなでどうでもいい話をして、笑いあったりして、何も事態は変わらないけど何か楽になる。
そう、「雑談」は、つながりの力を持ちます。
輪の中で、話さなくてもいいんです。話せなくてもいいんです。そこに居てくれるだけでいいんです。

私たちは、コロナ禍を経て、今一度、居場所の大切さを見直す必要があるのではないでしょうか。

チーフスタッフ 井利由利

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