2019年4月3日水曜日

茗荷谷クラブチーフスタッフのコラム&トピックス☆2019年4月3日号

■はじめに

さて4月になり新年度となり、新元号も発表され、新しい気持ちで茗荷谷クラブもスタートしました。こちらのチーフスタッフのコラムも心機一転、よろしくお願いいたします!


■内閣府のひきこもり調査について

 内閣府の初の調査で、40歳から64歳のひきこもりが推計61.3万人に上ることが分かりました。身体的病気や自宅で仕事をする人などは含まれていません。

半年以上にわたって、家から出ない人が9.1万人、ほとんど家にいて近所のコンビニなどには出かける人が27.4万人、ほとんどの家にいて、自分の趣味の用事の時だけ外出する人が24.8万人。

就職氷河期世代の40代が4割を占めました。2割がひきこもり歴20年超です。

 なぜこのような事態になっているのか?

現場からすると「やはり」という結果なのですが、今後の分析とどうすればいいのかを考えていかなければなりません。

彼らに何が起こったのか?

私見ですが、今回は「コミュニケーション」の観点から述べてみたいと思います。 

■コミュニケーションって?

ある42歳になる方は、バブルがはじけた1990年に中学生になりました。

中学時代、「学校がバラエティになった」と話してくれました。

それまで、学校は勉強するところであり、まじめに勉学に励むことが良しとされ、勉強のできる真面目な子が尊重されていました。

この「バラエティになった」というのはどういうことなのでしょうか?ということを調べてみました。

「現代のお笑い」に関する一考察―「ブーム」から現代若者文化へ―(西条昇 2009年)の論文を参考にしますと、1989年に「オレたちひょうきん族」が終了し、お笑い界は、お笑い第3世代に入りました。

そこに「とんねるず」、「ウッチャンナンチャン」、「ダウンタウン」が台頭します。

1990年代のテレビのお笑いの主流となったのは、“アポなし”での突撃ロケの敢行や、後輩いじり、過激ロケ企画の体を張った芸人たちのとる「笑い」でした。

一方で、お笑い芸人のタレント化、アイドルもかわいいだけじゃダメで、「リアクションが面白い」、「瞬時の短い言葉がウケる」タレント性の強いアイドルでなければ生きていけない時代となりました。

2004年(さきほどの彼が27歳ころ)には新たな「お笑いブーム」が訪れ、もはや日常会話の中にも芸人用語が定着し、「ボケ」「ツッコミ」「相方」「ウケる」「いじる」「すべる」「ネタ」「下ネタ」「むちゃぶり」などこれらはいつしか現代用語となりました。

「テレビの笑いを変えた男 横澤彪かく語りき」の著者である横澤氏は、言葉の力を失った時代にあって、今の人たちは笑いにくるまないと本音をしゃべれないと分析しています。

先の人に話を戻すと、彼が違和感を感じたのは、なぜ学校でタレント性が求められるのか?ということでした。

そして彼の戦いが始まります。

いかに相手に対して的確にリアクションするか、言葉を返すかに汲々とし、自分ではない人を「演じなければならない」絶望的な戦いです。

その後の就職氷河期、派遣労働の隆盛、派遣切り、リーマンショックなどの荒波の中、特に第三次産業が全体の約75%を占める産業構造の変化によって、コミュニケーション力が執拗に問われる中、その時にはもはや彼は疲れ切り、自分が生きていくことがとても困難であると感じていました。

斎藤環氏は、現代の若者はコミュニケーション強迫に陥っていると言います。

つまり、「コミュニケーションが不得手=社会的スキルが備わっていない」、「ゆえに就職活動に不利である」と思いこんでいるというのです。

そして、彼らのいうコミュニケーションとは、「空気を読めること」、「盛り上げること」、「誰かをいじれること」であると。

これではまるでお笑いの世界ではありませんか。

 茗荷谷クラブの今期のSSTプログラムのテーマは「コミュニケーション」でした。

良いコミュニケーションとは、相手に合わせることではなく、自分の言いたいことだけをしゃべることでもなく「相手の伝えたいこと」と「自分の伝えたいこと」が程よく一致したときに起こるものです。

肝は“程よく”です。

コミュニケーションに100%はあり得ません。

人は皆、自分の眼鏡を通してでしか世界を見ることができません。

ゆえに人によって見える世界が違うのですから、自分の思ったとおりに相手に伝わることはほぼないと考えた方が良いでしょう。

だからこそ、人はコミュニケーションをしようとするし、だからこそ面白い、もっと知りたくなります。

みんなが求めているのはスキルではなく、「楽しく会話ができた」、「自分の言いたいことが言えた」、「人の意外な話が聞けた」、「わからないことをわからないと言っていい」、そうした実感でした。

そんなこんなを考えて、プログラムリーダーはいつも大変な時間をかけて作成しています(他のスタッフにあーだこーだといわれながら…)。

みなさんが、プログラムを通して、なんとなくコミュニケーションの醍醐味を感じ取れたら嬉しいです。 

 今月のトピックス…「農業」という新しい居場所活動!

今月より茗荷谷クラブでは新しい試みとして「かつのうタイム」という、農業体験ができる居場所活動を埼玉県の朝霞台農園でスタートでスタートしました。

まだ細々と草刈りの段階ですが…今後どのようにしていくか模索中ではありますが、できるところからやっていきたいと思います。 

お手伝いできる方、 寄付等、資金面での応援大歓迎です。多くの方の応援をよろしくお願いいたします。

■おわりに

とういわけで、今回も盛りだくさんな内容でした。私たち茗荷谷クラブも今年度はいろいろな試みをしていきたいとおもいますので、よろしくお願いいたします!

それでは長文ご観覧ありがとうございました。




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