『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(博報堂生活総合研究所 光文社新書)を読みました。Z世代を家族との関係性からひも解こうというもので、さまざまなデータからその実態に迫ろうとしたものです。
そもそも親子の関係性が時代と共に変わってきているのだから、当然、ひきこもりで悩み、どう社会へつなげればいいのかと悩む親御さんたちへ向けての私たちの使う言葉も変わらなければならないだろうと思い、とても興味をもって読みました。
家族心理学のボーエン理論によると、家族の人間関係システムには2つの力が加わっているとしています。
一つは、子供が親から離れて自分の力で考え、行動し、感じるようになり、親と情動を分離していこうとする力です。
もう一つは、家族が密接につながって一つになろうとする力です。
この自立へと向かう力と、家族を第一に考えて大切にしようとする力の二つの気持ちで若者は揺れ、不安定になりながらもなんとかそのバランスをとって自立していくと学びました。
家族への気持ちへ向かう力が強すぎると、やがてお互いが反発し合い遠のくことになります。また、家族が不安定であったり機能していない家族であると、より家族と一つになろうとする力が強く働き、自立を阻みます。
著書によれば、Z世代の若者の異様とも思える幸福度の高さは、これまでとは全く異なる「親密な家族関係」があったと分析しています。
・Z世代が「生きがいや充実感を感じるとき」は、「親しい異性といるとき」よりも「家族といるとき」
・Z世代が本当の自分を一番見せている、価値観に一番影響を受けている相手は、親友ではなく母親。
親と趣味を共有したり同じファッションを共有したりするのはまだいいとしても、友人より母親、という時代…確かに異性とのお付き合いを全部母親に相談したり、「親友には迷惑を掛けたくないし暗くしたくないから悩みは話さないようにしている」との発言・・・反抗期もなくどうやって親離れ・子離れしていくの?と疑問が頭をよぎります。
居場所や仲間を求める傾向が少なくなっている、気疲れするし、面倒だし、と言う若者がコロナ禍以増えてきているように感じます。家庭が安心・安全な基地であり港のような場であることは必要です。その中で子どもたちは自ら探索行動を繰り返して成長していくと言われています。
でも一方で、外へ向かう気持ち―まだ仲間ではない異質な価値観を持つ他者と向き合うこと—も育つ必要があります。その役割は父親(父性)なのかもしれません。その役割分担―父性性と母性性のバランスを保っていくことを私たちは意識していかなければならないように思います。
ボーエン博士は知性を大変重んじました。家族システムの安定を図ることはすなわち、個人が知性ある自己を創ることです。ボーエン博士は、知性は情動(本能と同等)と相反するもので、知性と情動の調和が保たれ、また状況に応じて使い分けることが大切であるとしています。
親が情動に左右されずに知性を育み調和を取ること、家族を一つのシステムととらえ、父親の役割を今一度見直す必要があると感じました。
昨今、流行りつつある「親子の境界線を作る」ためにも知性が必要なのかもしれません。
それについては、またいつか触れたいと思います。
皆さんは、どう思われるでしょうか?
チーフスタッフ 井利由利



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