2022年1月12日水曜日

チーフスタッフのコラム【2022年1月】

 あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

新しい年はまた、コロナの感染者増加ではじまりましたね。



昨年11月にオンラインで行われたKHJ全国ひきこもり家族連合会(2021年度第15回KHJ全国大会)の2日間のアーカイブ映像を年末に見ることができました。

今回は、そこで感じたことをお話ししようと思います。



講演でお話ししてくださった方々、本当にありがとうございました。

そしてお疲れさまでした。とても中身の濃い充実した時間でした。



何よりも当事者、そして家族の方々の切実な本当に生死をかけた想いが伝わってきました。ピアサポーターの方々の言葉、そして第2部の学校といじめについての語りは心に響きました。

家族会の力とエネルギーはすごいなと思いました。



1989年に齋藤環先生が『社会的ひきこもり』の著書を出され、当時、「ひきこもり」と言う言葉やその存在をほとんどの人は知らなかった時代から、紆余曲折を経て、誰もが知るところとなりました。



そして、かつては、本人のニーズや気持ちを無視しながら、とにかく外へ出して、就労させればいいというような空気もあり、そうした中で傷つき、助けを求めることもできない当事者や家族の方が多くいたと思います。



茗荷谷クラブは、その中で、彼らの話してくれる言葉を聴き、主体性を大切に寄り添いながら30年以上やってきたという自負はあります。

やっとようやく社会の流れが現場に追いついてきてここまで来たかと思います。ずっと自分なりに発信してきたつもりではありました。



でも、社会のそうした流れに対してどれだけのことができただろうか?支援者に傷つけられた方、あきらめて年月を重ねてきてしまった方、沢山の方に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。



私は当事者でも家族でもなく、専門家スタッフとしてかかわってきました。今後、臨床心理士、公認心理師として、何ができるのだろうかと考えました。

同じ目線に立ちたいけれど、同じ目線にはなれない、、、。わかりたいけれどおそらくはすべてをわかることなんてできていない、、、。



ただ、目の前にいる困難を抱えた方たちとともに歩いていくことはできる、一人でも多くの方の幸せを願い、できることをすることができる、、、そのことがとても自分にとっても幸せなことだと思います。

その時私は一人の人としての私なのだと。



そしてまた、思うのです。臨床心理士は、自分自身の感情や気持ちをちゃんと認めることができ、正直であること、そしてぶれずにその人を信頼することができる人でなければならない。

それこそが専門家と自らが自らに言えることではないかと。



新年を迎え、また新たに、気持ちを引き締め、当事者の方、そしてその家族の方々と前を向いて進んでいこうと思いました。

そのことが、今の閉塞した生きづらい社会を変えていくことにつながるという思いを強くしました。



本当にありがとうございました。

どうぞ皆さんにとってよい年になりますように・・・。


茗荷谷クラブチーフスタッフ 井利由利


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