■はじめに
3月からは新型コロナウィルスのため、さまざまなイベントが中止となりました。私たちがとても楽しみにしていた2月29日のシルクロードカフェでの文化祭も延期としました。
とても残念ですが、やはりこれだけの不安を抱えていては楽しみきれないなと安倍首相の小中高全校休校の要請を聞いて急遽判断しました。
ほんとに、ずっと準備してきたのに、悔しくて残念でした。
■一人一人の1回生
さて文京区では、いち早くひきこもり支援の年齢制限の撤廃を打ち出しました。
これをもって、私たちの文京区ひきこもり等自立支援委託事業「STEP」は、「全世代を対象とした総合的な相談支援事業を行う」とプレスリリースされました。
茗荷谷クラブは開設当初から年齢制限なく無期限でやってきています。大体、年齢制限すること自体がおかしい!と常々思ってきました。
しかし、しかしです。
何か事業をしようとすると、やれその目的は何なのか?費用対効果はどうなっているのか?具体的な支援方法を明記せよ!制度の構築が必要!などなどが聞こえてきますが、そもそもこのような考え方がおかしいんじゃない?と言いたくなります。
いえいえもちろん否定する気はありませんが。ただ大前提を忘れてはいけないと思うのです。
ある人がある支援者と出会って、パターン化された支援なんて望んでいないでしょう。
その人の困りごとは、その人独自の1回生のものであり、それが誰かと同じでいいはずがありません。
一人一人の1回生を大事にし、その人のニーズを知りそれに精一杯応えていくことが、そのある人のできることで、そこに人と人の出会いがあります。
もちろん一人で何とかできることではないのが現実であり、その人のできることを先回りして奪ってしまったり、ある人が一人で抱え込んでしまったりすることは避けなければなりませんが。
こういうことはぜーんぶ今まで相談に来てくれた方やクラブで出会った人たちから教えてもらったことです。
ひどい虐待を受け、「せめて死ぬ前に誰かに聞いて欲しい。それだけでいいんです」と胸がいたくなる話を聴かせてくれたAさん。
「母親が60歳になってこれからは自分の好きなように生きるわと言ったとき、それこそ僕が一番望んでいることなんだって思ったんです」と笑顔を向けてくれたBくん。
「感情が怖いし、めんどくさいです。いっそロボットだったらよかったのに」と自分の感じやすさ、傷つきやすさと何とか折り合おう、受け入れようとしていたCさん。
「僕はクラブを卒業するけれど、クラブは必要な場所だから、がんばってね!」と笑顔で話してくれたD君。
それぞれがその人の独自の人生を生きようとしていました。
たくさんの方に教えられ、励まされてきました。
そして今も、たくさんの方が、真摯に自分と向き合い、真剣にそして、時には笑顔を見せてくれ、私を励まし、教えてくれています。
「人は、誰しも自己実現に向かおうとする」と言ったカール・ロジャーズの言葉は、カウンセリングを続ければ続けるほどに信じられる確信となってきています。
これからも、その人の1回生を大切にしていきたいです。
■今月のトピックス2月
2月には恒例のボーリング大会がありました。年に1度、メンバーさん21名、スタッフ8名、合計29名が集まりました。
ストライクやスペアーが出たときにはみんなでハイタッチ!はじける笑顔がとても素敵でした!イベントはクラブでもとても大事にしています。
今、コロナウィルスのおかげで数々のイベントが中止となり、なくなってみると改めてイベントの意味を感じます。
遊ぶことは、私たちに生き生きとした生きている実感をくれます。
さまざまな不安や恐怖が楽しさの中で溶解していきます。
温かさの中で溶けていくのを感じます。そして、何を楽しいと感じるかは、人それぞれです。
びっしりと決まったスケジュールではない自由な時間の中で、その人の独自の楽しさが個性として発揮されます。
自由な気楽さが大切なのでしょう。
通常のクラブでもゲームをしたり、お出かけしたり、楽しいことをこれからもたくさんしていきたいと思います。
そして、お祭り気分の大きくて楽しいイベントがまたできるようになることを祈ります。
チーフスタッフ 井利由利
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