ある小学校の6年生に、“子どもの権利について考える”授業を行いました。
西東京市では、子どもの権利を守るため2019年5月に「西東京市子ども条例」を作りました。
この授業は、子ども条例について知ってもらい子どもの権利について考えることを目的としています。
子どもの権利については、まだまだ私は勉強不足で、授業も子どもたちに伝わったかなと緊張しながらやりました。他の先生方にたくさん助けていただきました。
授業の流れは、子どもの4つの権利について私たちが作成した「みんなで学ぼう西東京市子ども条例」の冊子を使って学び、『ブランコのワーク』を行いました。
『ブランコのワーク』とは、ブランコに乗っているAさんと並んで待っているB,C,Dさんの場面で、交代してくれないAさんに対し、あなただったらどうする?Aさんの気持ちやBさんの気持ちを想像し、意見を出し合うワークです。
正解の答えがあるものではありません。結論や答えがないことを子どもたちがどう受け止めるか、クラスの中で自由に発言してもらいながら柔軟に授業が進み、権利について考えていきます。
授業の詳細については、ここでは触れることはできませんが、クラスの雰囲気、子どもたちによってずいぶんと授業の様相が変わってきます。多くの授業に参加させていただきました。いつも、子どもたちって本当に素敵だ!と思います。
ここで、子どもの権利の父と呼ばれるコルチャック先生(1978~1942)の言葉を紹介したいと思います。
「・・・百人の子どもは百人の人間だ。それは、いつかどこかに現れる人間ではない。まだ見ぬ人間でもなく、明日の人間でもなく、すでに今、人間なのだ。小っちゃな世界ではなく、世界そのものなのだ。
小さな人間ではなく、偉大な人間。「無垢な」人間ではなく,人間的な価値,人間的な美点,人間的な特徴,人間的な志向,人間的な望みを確かに持った存在なのだ」●1918-20『子どもをいかに愛するか』
「子どもには疲れるとあなたはいう。そのとおりだ。しかし “だって彼らの考えまで降りなきゃならないのだから。そこまで下りて、身をかがめ、腰を曲げ、身体を縮めなきゃならない”と説明するとき、あなたは間違っている。
私たちが疲れるのはそのためではない。そうではなくて、彼らの感性の高みにまで高まらなければならないからだ。高みをめざして、つま先立ち、背伸びをしてだ。無礼にあたらないように。」●1925年『もう一度子どもになれたら』
コルチャック先生の生涯と言葉 | JKA HOME 日本ヤヌシュ・コルチャック協会 (korczakjapan.org)より
コルチャック先生の言葉をたくさんの人に知ってほしいと思います。
親子関係で悩む人など、沢山の「悩み」が私たちのところへ持ち込まれます。「自分って人がめんどくさくて疲れます」、と言う人にも多く出会います。めんどくささは感性の高みです。
私たちが人と対峙するとき、子どもに対しても、そして大人になった人に対しても、コルチャック先生のように、出会いたいといつも思います。
茗荷谷クラブチーフスタッフ 井利由利