■はじめに
新年あけましておめでとうございます。当ブログではこの「チーフスタッフのコラム」が今年の初記事となります。
今年も茗荷谷クラブのいろんな活動を発信していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
■「不安」の取り扱い
相談や居場所に来ている多くの方が「不安」を訴えます。不安とどう付き合えばよいのか?今回はそれについて書いてみたいと思います。
「この世界は安全か不安か?」…人は、このどちらに感じるかの二通りに分かれると言われています。
不安は「恐怖」と似ていますが、恐怖は、自分で対処できる(避ける、逃げる、戦うなど)という感覚を持てるものであるのに対し、不安の根本的な問題は、何かが起こるに違いないし、起こった場合には自分は、「到底それに対処できない」と思っていることにあります。
この世界は確かに不安に満ち溢れています。
例えば、道中具合が悪くなるかもしれません。電車の中で怖い人に合うかもしれません。いつ地震が起こるか分かりません。交通事故にあう可能性も少なくありません。麻疹や風疹が流行った時には、感染するのではないかと不安になり、外へ出られなくなる方もいらっしゃいます。
でもなんとなく対処できるだろうし、いざとなれば誰かが助けてくれるのではないかとなんとなく思っているので、それほどの不安を感じずに外へ出ることができます。
このような感覚で日常を過ごすには、私たちが社会的に孤立していないこと、自分を受け入れてくれる人がいるという感覚と、「まあ、何とかなるさ」という感覚が必要となります。
これは、幼少期からのさまざまな経験と、「所属する場所がある」という「居場所感覚」によって培われます。
今一つ、この漠然とした不安に対処する為に必要なのが、“自己の感情への気づき”です
。
自分の中に、「悲しみ、怒り、イライラ感、不満」といった感情があり、それが大きなストレスになっているのにもかかわらず、それをないことにして頑張って、胃が痛くなるなどの心身に影響が出てしまうことがあります。
消化器的にはどこにも異常がないのに、どこか悪いのではないかと病院を回らざるを得なくなります。(もちろんそうでない方もたくさんいらっしゃいます)。
自己の感情に気づかないために、それがストレスとなって身体へ症状が出てしまう事と、どうしようもなく漠然とした不安に駆られる事は、どちらも自分の感情をおざなりにしているという点で、ほぼ同じメカニズムだと考えます。
感情を感じないようにしていると、頭でっかちとなり、思考の硬さや思い込みの強さを生み出します。
これが、“不確実性への不寛容”です。
世の中は不確実性で満ちていますが、これを受け入れられず、強迫観念(限定された思考の繰り返し)と、不安症状に置き換えてしまいます。不安の根本の一つは“不確実性への不寛容”です。
漠然とした不安は、自己の感情を語ることで軽減します。カウンセリングでは、この自己の感情の気づきを得られること、それをその場で自由に表現できることが推奨されます。
ある意味、とてもつらい作業となりますし、感情の否認が、今その方にとって必要な場合もあります。そこを見定め、支えながら、専門的な技法も使いながら、その方のペースで一緒に進めていくことになります。
茗荷谷クラブでは、居場所による体験と、個人療法を組み合わせることによって、少し
でも、不安とうまく付き合い、心の苦しさから解放される方が増えるよう願っています。
■今月のトピックス…年に一度のクリスマス会!
12月は恒例のクリスマス会が行われました。
今回は34名(内スタッフ8名)の参加者で文京区の施設をお借りして行いました。
今回も「企画・司会係」「料理係」「会場係」と役割分担をし、2週間前から準備を始め、初めて参加する方をベテランの方がうまくリードし、進めてくれていました。
オープニングの企画・司会係によるパフォーマンスは圧巻で、素晴らしかったです!手作りのカナッペ、マカロニサラダ、フルーツポンチ、唐揚げ、おにぎり、そして、豪華なクリスマスケーキはゲームで取り合い・・・・
ゲームもユニークなオリジナルなもので、とても楽しかったです。みんなで作り上げたクリスマス会でした。本当に皆さま、ありがとうございました!
■今月の短歌
さて、今回から、ある茗荷谷クラブOBの方の短歌を紹介するコーナーを新たに設けた
いと思います。
こちらはNHK短歌テキスに採用された歌です。
題【時間】
カーディガン一枚買うに必要な労働時間思って戻す
題【花】
たんぽぽの綿毛蹴りたい衝動が明日の私を遠くへ飛ばす
…とても味わい深く、読んでいるだけで、いろんな想いが胸を絞め、私にとってとてもい
い時間をもらったような気がしました。また、この方が送ってくださったら、このコラムを設けたいと思います。
■おわりに
いかがでしたでしょうか。クリスマス会はみんなで一つのものをつくるという体験を味わえる機会であり、毎年毎年でその年のカラーがでているなぁ…といつも思っています。
このような感じで今年もいろいろなことをお伝えできればと思っていますのでよろしくお願いいたします。
それでは長文ご観覧ありがとうございました。