2025年10月21日火曜日

「40周年を迎えて」~チーフスタッフコラム 2025年10月

11月16日(日)に(公社)青少年健康センターの40周年式典を行います。
40周年…すごいですよね。
茗荷谷クラブは1988年1月に開設されました。37年間です。今回は茗荷谷クラブのこれまでとこれからについて思うこと、こもごもを記してみようと思います。

1988年開設され、私は1991年に研修生として研修料金をお支払いしてクラブの活動に携わりました。
当時、「ひきこもり」という言葉はなく、主に精神疾患や神経症の若者たちが家や学校、職場で居場所を失い、行けるとしたら病院のデイケアくらいしかないと、通ってきていました。
当時は、まだ不登校や精神疾患(そもそも発達障害という言葉もなく)に対する偏見も強く、茗荷谷クラブはむしろ地域社会から隠れるようにひっそりと看板もなく活動していました。

1998年に斎藤環先生の「社会的ひきこもりー終わらない思春期ー」の著書が出され、「ひきこもり」という言葉が広まりました。
何らかの形でドロップアウトし、「社会的ひきこもり」という名を得た若者たちが、必死に自分たちが生きることのできる場所を探そうとしていました。
茗荷谷クラブにもたくさんの若者たちが来ていました。

ひきこもり問題は若者支援にとても大きな影響を与えています。
学校から卒業した18歳以上の若者たちが、さまざまな困難を抱えているのに、だれにも相談できず、だれにも助けてもらえずに、悪いのは全部自分のせい、ダメな自分と自己否定に苛まされて「自己責任」という言葉の下、ひきこもっていきました。

子育て支援はあるものの、この支援の穴ぼこ(狭間)を埋めなければと国もようやく動き出し、2010年に「子ども・若者育成支援推進法」が施行されました。

2014年、世田谷区の方が「若者支援をやりたいんだ。ぜひ協力してほしい」と強い思いを持って、茗荷谷クラブを訪ねてきてくださいました。それが行政とのかかわりの最初でした。
実はその前にも、私は文京区の保健センターを訪ね、文京区で若者の居場所とカウンセリングをやっている、ぜひ官民協働で一緒にやらせてもらえないかと何度も足を運んでいました。

2014年文京区ひきこもり事業「STEP」受託。2016年台東区若者支援推進事業受託、2019年葛飾区若者支援事業受託、2022年千代田区ひきこもり支援業務受託と進めてきました。

心を砕いたのは見えにくい評価の言語化です。
役所の常識は費用対効果です。数値でひきこもり問題は図れない、その人がその人らしく、自己決定、自己選択できること、自分の人生を自分で歩む、生きる意欲をもってもらえること、行政の方たちと、分かり合える言葉をなんとか見つけようと必死になってやってきました。

私を動かしたのは、当事者の方たちから聞かせていただいた、たくさんの想い、生きるって何だろうという問いです。
そして積み重ねてきたその人1回限りの独自の事例です。

ようやく、社会参加の実現や就労はプロセスであり、それのみがゴールではない、本人及びその家族自身の意思で今後の生き方や社会とのかかわり方などを決める「自律」を目指すというところまできました。

それではこれから私たちはどうすればいいのでしょうか?
もちろん実践と報告は大切です。そして、私たちが、ワクワク感やときめきをこれまで以上に持ち続けることができるか?が大きな課題だと思います。

様々な困難を抱えながらも、生きようとしている若者たちから私たちは社会のあるべき姿を教えてもらっていると思います。
彼らは、この社会をどうすればもっと生きやすくなるかを真剣に考えています。
彼らの言葉を聞き、対話していくこと、双方向のコミュニケーションをしていくことが、大切なのではないか。
そして困難な境遇にあって心に悩みを持つ人が生きやすい社会、多様な人々が共生する社会を、私たちも当事者も共に社会の一員として発信していくことが大切なのではないかと思います。

でも、でも・・・そのための具体的な手立てをまだ模索中です。
ぜひ、当事者の方、そして皆の力、意見や考えを聞かせて欲しいと思います。

金木犀の花。とってもいい香りがしています。

チーフスタッフ 井利由利

2025年10月14日火曜日

文豪と忘れられたキツネ,筋肉痛

あなたの好きな文豪は誰でしょうか。9月のSSTプログラムを紹介します。

■テーマトーク
話してみたいテーマを持ち寄ってのトーク。
「タイムマシンがあったら」「宝くじが当たったら」「小学生時代の思い出」「生きてくうえで大切にしていること」などなど多彩なテーマが集いました。
普段は沈黙があると焦ったりすることも多く…ゆっくり落ち着いて考えながら語り合えることってなかなか無いなーと改めて感じ,貴重な時間になりました。
私は「ちょっと許せないこと」を話せて,自分だけと思ってたけど意外に共感してもらえて,じんわり嬉しかったです!

■メタモルフォーシス・セッション
SSTのプログラムはちょっとうさんくさいタイトルをつけるノリがあります。
周りの何かになって(変身=メタモルフォーシスして)気持ち・情景を書いて共有してみることで,見えてくる何かがありました。
ちょっと怪しげに聞こえるかもしれませんがれっきとした心理学的な自己理解のグループワークです。
みんな生き生きとした文章で,まるで太宰治のように心に迫るものも…!
関係ないですが新しい実習生さんは「話が面白いと思う人」というテーマの自己紹介で,「森鴎外」を挙げていました。光る個性。
クラブの部屋の壁に長年かかっているキツネの,誰からも忘れられ寂しい思いを表現してくれた人もいました。



■ソフトボール練習
月末のソフトボール大会に備えて。
9月下旬ながら,逆に笑っちゃうような暑さのなか近所の公園で体を動かしました。(ちゃんと水分補給して休み休みやりましたよ)
思い切り投げて打って守って,みんな勇者でした。何回空振っても声援が飛んできて温かかった…
翌日以降とんでもない筋肉痛に襲われた人が多かったといいます。それもまた一興。


また10月の紹介で!