この度、東京都子供・若者計画(第2期)が策定されました。
私は、本策定に、第32期東京都青少年問題協議会委員としてかかわり、本冊子が送付されてきました。
本計画は、以下の3つの柱から構成されています。
○基本方針Ⅰ『全ての子供・若者の健やかな成長と社会的自立を支援』
○基本方針Ⅱ『社会的自立に困難を有する子供・若者やその家族の支援』
○基本方針Ⅲ『子供・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備』
この中で私が主にかかわり意見等を述べさせていただいたのは、基本方針Ⅱです。
41ページを開くと、「特に社会的自立に困難を抱える子供・若者やその家族への支援を進めるにあたっては、以下の点に留意することが求められます」と記載されています。
〇子供・若者が権利の主体として尊重されること
〇子供・若者を大人と共に生きるパートナーとして捉え、その能動性を引き出すため、当事者である子供・若者の意見を、その年齢や発達の程度に応じて最大限尊重し、反映させていくこと
〇子供・若者本人だけでなく、家族も含めて困難な課題の全容を見通し、状況に応じて、家族も含めた支援を行っていくこと
〇子供・若者のその時々の状況を見極めながら、長期的な視野から行きつ戻りつの支援を行っていくこと
〇生まれてから現在に至るまでの生育環境において様々な問題に直面した経験を有していることが多く、問題を複合的に抱え、非常に複雑で多様な状況になっていること
最近、ある中学校の先生方とお話する機会があり、
「子供たちがおとなしく、意見を述べることがあまりない。どうすれば子供たちが自由に意見を述べることできるのだろうか」という話になりました(上記、罫線を引いたところを今回は取り上げます)。
以前に児童館に来ている子供たちにインタビューしたところ、
「学校には建前があり、仲良くしなければならないし、集団から外れないよう頑張っている。仮面をかぶっている。そこから外れるといじめやインターネットでたたかれる」という話を聞いたことがあります。
子供たちが自由に自分の言いたいことを言えなくなっているとしたら、その弊害は計り知れません。
自分の感情や想いをいつも押し殺し仮面をかぶり続けていると「自分が何をしたいのか」、「どう感じているのか」がわからなくなり、生き生き感がなくなってきます。
その時にある若い先生が、「空港を建設しグローバル化や生活を豊かにしようとする人がいる一方で、空港の建設によって、騒音や、家を引っ越さなければならない人がいる。どうすればいいのかみんなで考えよう」という授業をやったところ、かなり子供たちが発言し、盛り上がったという話をしてくれました。
この授業の肝は、「どちらが正しいかとかの結論を出すものではない」ということです。
公平とは何か?権利とは何か?など考えることの大切さ、そして何よりも、自分の意見を言うことの楽しさ、あなたと私の世界観、考えがどれほど違っているかを掘り下げていくこと、そして違っていていいこと、それでも対話を続けていくことです。
まさに『オープンダイアローグ』ですね!
自分が意見を言っても正しいとか正しくないとかと否定されることなく、いい意見だねと言ってもらいたかった。
思い出しても、私はそんな風に言ってもらえたことがありません。最も意見を言うことなどほとんどできなかった子でしたけど。
現在、こうした教育が求められているのではないでしょうか。
それを実践しようとしている先生方がいることにとても嬉しく感じました。
そして、限度はあるものの最大限自由に話せる場-茗荷谷クラブ―をどうやったら作れるのだろうかと改めて思いました。
チーフスタッフ 井利由利