2019年9月10日火曜日

茗荷谷クラブチーフスタッフのコラム&トピックス☆2019年9月10日号

■はじめに



いつもご覧いただきありがとうございます。今月も「チーフスタッフのブログ」の原稿が届きました。



9月になっても猛暑や台風などなかなか落ち着かない日々ですが、今月も盛りだくさんな内容でお届けしたいと思います!



■環境という「システム」について




前々から思ってきたことがあります。



2000年代初めのころでしょうか、「カウンセリングの功罪」という言葉が頭に残りました。私のメモノートにはこうあります。



「そもそも個人のシステムと環境のシステムとの間に不適合がある場合、カウンセリングは環境の問題を解決しようという発想を持たない。


むしろ適合できない個人の方に関心を向けさせ、個人の問題として解消を図ろうとする。結果的に社会に生じる矛盾や問題にあえて目を向けさせない方策といえなくもない」と。



出典の記載はなくしてしまったのですが、「カウンセリングの功罪」について書いてあった本の一部分を引用したものです。「心理学が導く社会問題の排除と巧妙な管理社会化」といったちょっと過激な言葉も思い出します。



また先日、二日間にわたるセクシュアル・マイノリティ支援者養成研修講座に参加してきました。



例えば、LGBTの方が「自分はゲイかもしれない、どうしたらいいか?」と相談に来た場合、当然ながら「そのままのあなたでいい」というだけでは足りません。



もっとその一歩上をいく必要があります。



多くの支援者はその人の持つあたりまえの人権が尊重されるべき道を作るために社会に対し提言し、変革をしていきます。



ひきこもりだってそうです。



ひきこもりはその人の問題?家族の問題?かといえばそうではありません。私は「環境システム」を変えていく努力をどれほどできているのか?自問自答の日々です。



「世界性の健康学会の性の権利宣言(2014年改訂)」では16の「本当に当たり前なはずなのに、実際にはそうなっていない権利宣言」をしています。以下に引用します。



1.平等と差別されない権利

2.生命、自由、および身体の安全を守る権利

3.自立性と身体保全に関する権利

4.拷問および残酷、非人道的または品位を傷つける取り扱いや刑罰から自由でいる権利

5.あらゆる暴力や強制・強要から自由でいる権利

6.プライバシーの権利

7.楽しめて満足できかつ安全な性的経験をする可能性のある、性の健康を含む、望みうる最高の性の健康を享受する権利

8.科学の進歩と応用の恩恵を享受する権利

9.情報への権利

10.教育を受ける権利、包括的な性教育を受ける権利

11.平等かつ十分かつ自由な同意に基づいた婚姻関係または他の類する形態を始め、築き、解消する権利

12.子供を持つか持たないか、子どもの人数や出産間隔を決定し、それを実現するための情報と手段を有する権利

13.思想、意見、表現の自由に関する権利

14.結社と平和的な集会の自由に関する権利

15.公・政治的生活に参画する権利

16.正義、善後策および救済を求める権利



「権利」というと固い感じがしますが、誰でもが生まれながらに当たり前に持っているものです。



日々の相談で精一杯の中ですが、できることをやっていくしかありません。ひきこもりに関しても、その人がどのようなニーズを持っているかを真摯に聞き取り、そのニーズに合わせていくことが、まず第一に大切です。



その人のニーズを聞き取ること、「あるべき姿」ではなく「こうしたい」という願い、です。ただ、往々にしてそれは本人にもよくわからないことがあります。



だからこそ安心して話せる場とゆっくりの流れる時間が必要です。それこそが生きる上での大切なその人の権利を尊重することだと思います。



そしてそのニーズを発信していくこと、さらに当事者の方々との協働を前提とした制度を試行錯誤していく必要があると考えます。



■今月のトピックス…自分の「キャラ」って?



暑かった8月。茗荷谷クラブもお盆休みがありました。いつも忙しいスタッフのみんな、少しは休めたでしょうか?



今月はイベントは「カレーフェス」もありましたが、暑い中、クラブの部屋で食べたかき氷はおいしかったですね!



さて8月のSSTグループのプログラムで「アドラーの対人関係論」のプログラムを行いました。



これは自分の「キャラ」についてちょっと考えてみたプログラムです。「キャラ」といえば集団の中で一度引き受けてしまうとなかなか変えるのが難しく、「なんか違う…」と思いながらもそれを通してしまうことによって自分を見失うことがあります。



でも対人関係において、「相手によって違う自分」、「役割によって違う自分」が出てくるのは当たり前です。



その奥底にあるであろう本来の自分が、自然とそこに「彩り」や「スパイス」を与えているのだと考えれば、私たちは自由だしいろんな自分がそのつど出てきて、「キャラ」を楽しんでしまえばいいのではないか、とそんなお話もありました。



なかなか難しいですが、せめてどんな自分も、認めてあげたいですね!



■終わりに



というわけで今月号はいかがでしたでしょうか?茗荷谷クラブも月末のソフトボール大会から始まり、秋のイベントがたくさんあります。



プログラムもイベントも皆で一つ一つ大切に過ごしていきたいと思います!



それではご観覧ありがとうございました。